イネ品種「ミルキークイーン」の低アミロース性に関する遺伝子分析
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要約
コシヒカリの突然変異原処理によって育成したミルキークイーンの低アミロース性は、既知のdu遺伝子ではなく、wx遺伝子座の対立遺伝子wx-1 (t)に支配される。
- 担当:農業研究センター・作物開発部・稲育種研究室(作物研究所・稲研究部・稲育種研究室)
- 連絡先:0298-38-8950
- 部会名:作物生産
- 専門:育種
- 対象:稲類
- 分類:研究
背景・ねらい
米の澱粉を構成するアミロースの含量を遺伝的に低下させることにより、粘りの強い良食味米を得ることができる。本研究では、「コシ
ヒカリ」の突然変異原処理によって育成した「ミルキークイーン」の
低アミロース性の遺伝的機構を明らかにする。
成果の内容・特徴
- ミルキークイーンの低アミロース性は単一の劣性遺伝子に支配されている(表1,表2)。
- 低アミロース性を支配する既知のdu遺伝子との対立性検定において、いずれの F2集団においても粳胚乳とダル胚乳が分離し(表3),「ミルキークイーン」の低アミロース性を支配する遺伝子は既知の5つのdu遺伝子とは非対立な関係にある。
- du4標識遺伝子系統とのF2集団において分離比が粳:ダル=3:13を示し、du4遺伝子とミルキークイーンの低アミロース性を支配する遺伝子には相互作用がある。
- 「コシヒカリ」の糯性突然変異体「コシヒカリwx」と「ミルキークイーン」のF2集団において,「コシヒカリ」並のアミロース含量を示す個体の超越分離は観察されず、また集団内で糯性個体と低アミロース性個体が1:3に分離し、「ミルキークイーン」の低アミロース性はwx座の対立遺伝子wx-1 (t)に支配される(図1)。
- 「ミルキークイーン」のwx-1 (t)の塩基配列は、Wxと一部異なる(塩基配列データ未発表)。
成果の活用面・留意点
- 「ミルキークイーン」の低アミロース性を支配する遺伝子が特定できたため、同品種を母本として品種改良を行っている農業試験場に
遺伝情報を提供できる。
- wx-1 (t)の塩基配列情報が「ミルキークイーン」のDNA鑑定に利用できる(特許申請中)。
具体的データ
その他
- 研究課題名:イネ低アミロース性品種「ミルキークイーン」の遺伝子分析
- 予算区分 :経常
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研究期間 :平11~12年度