水稲ロングマット水耕育苗に使用可能な種子消毒剤の選定

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要約

水稲ロングマット水耕育苗において、ペフラゾエート剤、ベノミル剤で種子消毒を行うと、水耕苗の根の伸長はほとんど抑制されない。

  • 担当:農業研究センター・病害虫防除部・水田病害研究室(中央農業総合研究センター・病害防除部・糸状菌病害研究室)
  • 連絡先: 0298-38-8940
  • 部会名: 生産環境,総合研究
  • 専門:作物病害
  • 対象: 稲類
  • 分類: 研究

背景・ねらい

水稲ロングマット水耕苗移植栽培では、育苗が循環養液で行われることから種子伝染性病害の発生が増長される可能性があり、種子消毒は必須の作業であ る。市販種子消毒剤の中には水耕苗の根の伸長を抑制し、移植に支障をきたした薬剤があった。そこで、本育苗法に使用可能な種子消毒剤を選定する。

成果の内容・特徴

  • 市販の種子消毒剤12剤を供試して種子消毒を行った。播種10日後に水耕苗の草丈、最長根長、根数、葉令を調査して、本育苗法に使用可能な種子消毒剤を選定した。
  • 種子消毒剤による水耕苗の生育阻害は、草丈よりも、根に顕著に現れ、根長が無処理区に比べ32~76%短くなり(図1)、マット形成が不十分となる。
  • 根の伸長抑制が生じにくい種子消毒剤は、ペフラゾエート剤、ベノミル剤、チウラム・ペフラゾエート剤およびチウラム・ベノミル剤である(図1、図2)。これらの剤で種子消毒した水耕苗では、機械移植に支障をきたさないマットが形成される。

成果の活用面・留意点

  • 本育苗法に対して、登録のある種子消毒剤はない。
  • 使用可能と考えられる種子消毒剤においても、各薬剤による処理条件の遵守および水稲ロングマット水耕苗の育苗・移植技術マニュアル(農研センター刊)に準じた育苗管理を行い、根の伸長抑制を最少限にすることが重要である。

具体的データ

 

図1:低濃度24時間浸漬処理種子による水耕苗の生育
図1:低濃度24時間浸漬処理種子による水耕苗の生育

 

図2:ベノミル剤、ペフラゾエート剤処理種子による水耕苗の根の伸長
図2:ベノミル剤、ペフラゾエート剤処理種子による水耕苗の根の伸長

 

その他

  • 研究課題名:ロングマット水耕苗育苗における病害の発生生態と効率的防除技術の開発
  • 予算区分:地域総合
  • 研究期間:平成12年度(平成 10~12年)