ロングマット苗移植作業の労働負担軽減効果
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要約
水稲ロングマット苗の播種から移植までの作業は、慣行移植に比べ作業エネルギー量を約1/2に、5kg以上の重量物を保持する時間を約40%以下に軽減する。さらに腰痛等の障害を発生させる危険な作業姿勢も大幅に減少する。
- 担当:農業研究センター・機械作業部・作業システム研究室(中央農業総合研究センター・作業技術研究部・作業労働システム研究室)
- 連絡先: 0298-38-8904
- 部会名:作業技術
- 専門: 作業
- 対象: 稲類,農業機械
- 分類: 指導
背景・ねらい
ロングマット苗移植技術は慣行のマット苗移植技術に比べ補給回数は約1/10、苗重量は約1/5であり、労働負担軽減効果の大きいことが期待されている。そこでロングマット苗の育苗や移植作業の軽減効果を、心拍数調査やOWAS法(作業姿勢調査)等により解明する。
成果の内容・特徴
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被験者の心拍数と作業姿勢を調査して、作業エネルギー量を推定したところ、ロングマット苗移植作業は、播種から移植までの作業エネルギー量が慣行移植作業の約1/2となり、作業の大幅な軽減効果が認められる(表1)。
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OWAS法によって作業姿勢を評価したところ、慣行移植作業は腰痛等の障害になる危険性が高い姿勢が多く出現する。しかしロングマット苗移植作業では早期
に改善を要する姿勢(姿勢コードAC4とAC3)の出現頻度は作業時間の1%未満で、障害が発生する危険性は極めて低い(表2)。
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苗箱1箱に相当する5kg以上の重量物を保持する時間は、ロングマット苗移植作業では慣行移植作業の約40%に減少する。また、10kg以上の重量物を保
持する作業時間は、ロングマット移植作業が若干多くなる。しかし、OWAS法によれば、腰痛等の障害を受ける危険は慣行移植作業より少ない(表3)。
成果の活用面・留意点
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ロングマット移植技術は慣行移植技術に比べて大幅に作業時間や作業負荷量が減少することから、長期間育苗・移植作業を行う大規模経営体に推奨できる。
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ロングマット苗の巻き取り作業(2人一組の人力作業)は、労働強度(RMR:3.0)が高くなり問題が残されている。作業に休息を十分とるか、機械化等の改善を図る必要がある。
具体的データ

表1:育苗~移植作業の延べ作業時間及びRMR

表2:OWAS法によって評価した有害な作業姿勢が伴う作業

表3:作業者の重量物ハンドリング時間
その他
- 研究課題名:ロングマット苗育苗・移植作業における労働負荷の解明
- 予算区分:地域総合
- 研究期間:平成12年度(平成10~12年)