GPSを利用した作業軌跡解析システム
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要約
作業軌跡解析システムは太陽電池パネルと無線モデムを組み合わせた作業軌跡測定装置と解析ソフトウェアから構成され、GPSにより得られた作業軌跡から機械の稼動状態や作業能率を推定できる。
- 担当:農業研究センター・機械作業部・作業システム研究室(中央農業総合研究センター・作業技術研究部)
- 連絡先: 0298-38-8904
- 部会名: 作業技術
- 専門: 作業
- 対象: 農業機械
- 分類: 研究
背景・ねらい
農業機械を効率的に利用するためには、機械の稼動状態を把握する作業能率等のデータ蓄積が重要であるが、測定に人員が必要であり、多くの時間も要す
る。そこで、GPSを利用して記録された作業軌跡から機械の稼動状態を判断することで作業能率の推定を行うシステムを開発する。
成果の内容・特徴
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作業軌跡測定装置はGPS受信機、無線モデム等からなる本体部とGPSアンテナ一体型太陽電池パネルにて構成される。本装置は農業機械等に簡便に設置することができ、作業現場から離れた場所での測定が可能なため、作業現場での測定を行う人員を減らすことができる(図1,図2)。
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作業軌跡解析ソフトウェアは、受信したGPSデータから稼動状態として、圃場内・外、停止・移動、直進・旋回の判別が行える(図3)。各判定は変曲点抽出処理によってGPSによる測位誤差を除去し、速度、角加速度により判別を行う。
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大豆コンバイン収穫の作業解析システムによる圃場内での直進状態の推定値は実測値とほぼ一致するため、機械の稼動状態の推定が可能である(表1)。したがって、施肥、播種、収穫等の直進移動が主となる作業の場合、解析結果を利用した作業能率の推定が行える。
成果の活用面・留意点
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中波ビーコン受信式DGPSのため、中波ビーコンの受信状態の悪い内陸部等では単独測位となるため解析精度が低下するおそれがある。
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作業軌跡解析ソフトウェアはNMEA0183準拠のGGAテキストフォーマットに対応し、他のGPS計測システムで得られたデータの解析に利用できる。
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使用した測位誤差1.0mのGPSでは、平均作業速度0.2m/s以下、または旋回半径が1.0m以下の作業では稼動状態の判別誤差が大きくなる。
具体的データ

図1:作業軌跡測定装置(上:装置、下:トラクタ搭載例)

図2:作業軌跡解析システムの構成

図3:稼動状態判別フローチャート

表1:実測値と推定値との比較
その他
- 研究課題名:GPSを利用した作業能率解析システムに関する研究
- 予算区分 :経常
- 研究期間 :平成12年