ケナフの耐湿性
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要約
ケナフは地下水位が10cm以深であれば出芽に支障ないが、生育には地下水位30cm以深が好ましい。生育初・中期における一時的な湛水や高地下水位による湿害は、10月中下旬収穫時の乾物収量には影響を及ぼさない。
- 担当:農業研究センター・耕地利用部・作付体系研究室(中央農業総合研究センター・耕地環境部・作付体系研究室)
- 連絡先:0298-38-8532
- 部会名:作物生産
- 専門: 栽培
- 分類: 指導
背景・ねらい
ケナフは非木質系パルプ用の資源作物として、また、建築、繊維等の分野からも新しい資材として注目されている。このような背景から、一部の地域にお
いて新しい転作作物の一つとして関心が高く、試作や小規模の栽培が行われている。そこで、休耕田や転換畑等へのケナフ導入に際して課題となる耐湿性につい
て明らかにする。
成果の内容・特徴
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湛水条件では全く出芽しない。地下水位3、5cmの出芽率はそれぞれ18%、48%であるが、地下水位10cm以深では対照区と同等の出芽率となる(図1)。
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播種直後から1~3日間湛水および地下水位3cmの水分条件で経過しても、その後落水および排水することによって高い出芽率が得られる。しかし逆に、播種後
数日間畑土壌水分条件(対照区)で経過後、数日間湛水および地下水位3cmに遭遇すると出芽率は低下する。特に、湛水での低下は著しい(図表省略)。
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ケナフは湛水条件でも生育可能であるが、その生育量は自然土壌水分(対照区)の1/4程度である。地下水位20cmでは全重、茎長および茎の太さは対照区と差がないが、茎重はやや少ない。地下水位30cmでは対照区と同等の生育である(表1)。
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10~20日間の一時的な湛水や高地下水位(10~13cm)による湿害は、生育中期より生育初期で大きくなる傾向が認められる。しかし、これら生育時期の湿害は、10月収穫時の全重には影響を及ばさない(表2)。
成果の活用面・留意点
- ケナフ導入のための圃場選定の参考になる。
- ケナフの栽培管理、排水等の圃場管理の参考になる。
- 一連の試験は、ほとんど枠やポットを用いて行っているため、過湿処理後の排水の遅速や根系の発達・伸長等が圃場と相当異なると推定される。したがって、圃場への適用に当たってはこれらの点に留意する必要がある。
- 関東地域において、主に灰色低地土を用いて得られた結果であることから他地域やほかの土壌では別途検討する必要がある。
具体的データ

表1:ケナフの生育に及ぼす地下水位の影響

表2:ケナフの生育初期、中期における過湿処理がその後の生育に及ぼす影響

図1:地下水位と出芽との関係
その他
- 研究課題名:水田輪作へのケナフの導入条件の解明
- 予算区分 :行政対応特研
- 研究期間 :平成12年度(平成11~13年)