大規模施設野菜経営の雇用導入状況と労務管理の特徴

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要約

東海地域の施設野菜経営においては、農産物販売金額3,000~5,000万円以上層で雇用が増加し、農産物販売金額5,000万円以上層では、臨時雇用 が減少し周年雇用が増加する傾向にある。このような大規模経営では、就業環境の整備を含めた新たな労務管理が必要になる。

  • 担当:農業研究センター・農業計画部・就業構造研究室(中央農業総合研究センター・経営計画部・経営設計研究室)
  • 連絡先: 0298-38-8414
  • 部会名: 経営,総合研究
  • 専門: 経営
  • 分類: 研究

背景・ねらい

東海地域における施設野菜生産では、大規模経営を中心に、雇用労働力の導入が進展している。そこで、施設野菜生産における雇用労働力の種類や導入経営の特徴を分析し、雇用型経営における労務管理の特徴を把握する。

成果の内容・特徴

  • 東海地域の施設野菜経営(販売金額に占める施設野菜の割合が第一位である農家)の雇用導入率は、90年の18%から95年には23%に増加した。農産物販売金額別にみると、販売金額が大規模な農家で雇用人数が拡大している(図1、図2)。ただし、施設花き経営と異なり、施設野菜経営では、農産物販売金額3,000~5,000万円以上層で雇用が増加し、農産物販売金額5,000万円を境として、周年雇用は拡大し続けるものの臨時雇用は減少する傾向にある。
  • 周年雇用の導入している経営の内容をみると(表1)、ハウス面積規模が大きいことに加えて、施設の回転率が高いという特色がある。特に、90年から95年の間に回転率が増加しており、周年雇用の導入と施設の利用効率との間に関係があることがわかる。
  • 雇用導入経営の労務管理をみるために、大規模施設園芸経営を対象としたアンケート結果(施設園芸協会、1999)から、関東・東海地域における販売金額5,000万円以上の経営と、それ以外の経営を比較すると(表2)、5,000万円以上層では、雇用労働力に依存する傾向が強く、能力給の導入に加えて、従業員が作業しやすい栽培・技術体系を強く心がけている傾向にある。その結果、従業員の労働効率は、家族従事者とほぼ同水準に達しており、経営の安定化につながっている。
  • 雇用者の就業環境の点からみると(表3)、販売金額5,000万円以上層では、雇用保険などの社会保険の加入率が高く、また、従業員専用の休憩室、トイレなどの設置割合も高くなっており、就業環境の整備を重視している。

成果の活用面・留意点

施設野菜経営の雇用形態の特徴は、東海地方に限らず、一般化しうると考えられる。しかし、施設野菜経営の作業内容別の労務管理の特徴については、今後さらに追加調査を行う必要がある。

具体的データ

図1:農産物販売金額別の一戸当たり臨時雇用者数(人日、東海)
図1:農産物販売金額別の一戸当たり臨時雇用者数(人日、東海)

 

図2:農産物販売金額別の一戸当たり周年雇用者数(人、東海)
v図2:農産物販売金額別の一戸当たり周年雇用者数(人、東海)

 

表1:雇用型施設野菜経営の経営内容(東海)
表1:雇用型施設野菜経営の経営内容(東海)

 

表2:経営主の労務管理状況(関東東海、施設園芸農家)
表2:経営主の労務管理状況(関東東海、施設園芸農家)

 

表3:経営主の就業環境の整備状況(関東東海、施設園芸農家)

 

その他

  • 研究課題名:東海地域における施設野菜生産の動向と担い手の構造解析
  • 予算区分 :地域総合研究(東海施設)
  • 研究期間 :平成12年度(平成12~14年)