農業経営の法人化による財務効果の計測手法
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要約
農業経営の法人化に伴う税制・社会保険の制度的変化の財務効果計測手法を提案するとともに,本手法を簡易に利用できるシステムを開発した。
- 担当:農業研究センター・経営管理部・経営設計研究室(中央農業総合研究センター・経営計画部・経営設計研究室)
- 連絡先: 0298-38-8414
- 部会名: 経営
- 専門: 経営
- 分類: 普及
背景・ねらい
意欲ある担い手が積極的な経営展開を図っていくためには,農業経営の法人化が重要となってきており,政策的にも推進されている。そこで,法人化を検
討する農業経営者の関心事である税制や社会保険料を中心に,法人化した場合の制度的変化がもたらす財務的影響を計測する手法及び表計算ソフトを用いたシス
テムを開発した。
成果の内容・特徴
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農業経営の法人化に際して財務面で特に影響のある税制(所得税,法人税,地方住民税,事業税の4種)及び社会保険について,法人化した場合を想定し,それらの制度内容を適用した場合の財務内容を計測する手法(図1:計測手法のデータフロー図)を開発し,専門的知識が無くとも税制・社会保険を考慮した財務効果の計測が可能になった。
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表計算ソフトMS-Excelを用い上記手法をシステム化(農業経営法人化支援システム)した。本システムは簡易に財務内容をシミュレートすることを重視
し,入力に必要な情報量を極力少なくしている。また,本システムでは法人化後の給与支給額を自由に設定でき,その設定金額に応じた税額,社会保険料,従事
者別の所得金額,当期利益などが示され,個人経営と法人化後の財務状況を比較できる。なお,「表1:計測結果の比較表」は計測結果をしたものである。
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本システムでは,営農技術体系評価・計画システムFAPSなどにより作成した経営計画の売上高や費用などを入力し,その経営における法人化に伴う財務面の
影響度合いを計測することもでき,「どの程度の売上金額や所得金額に達したら法人化する」というような検討を行う場合にも使用できる。
成果の活用面・留意点
本システムを利用するには個人経営時における収支概況,従事者別の所得状況(所得控除内容や納税等のデータ含む)などのデータが必要なため,データ
入力には確定申告書などが必要である。また,上記3のように他の経営計画ソフトを用いたデータを使用する場合には,現在の納税状況や収支状況のデータ入力
システム部分を変更することで,より円滑な操作が可能となる。なお,本システムは最新FAPS-CD(2001年3月)に収録し,希望者(農業改良普及員
や農業経営者など)に送付する。
具体的データ

図1:本計測手法のデータフロー図

表1:計測結果の比較表(法人経営収支を勘案した給与設定)
その他
- 研究課題名:財務シミュレーション手法の開発
- 予算区分 :経常
- 研究期間 :平成12年度(平12~14年)