ロングマット苗移植技術普及のための目標育苗コスト水準
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要約
水田作経営にロングマット苗移植技術を普及させるには、ロングマット苗生産コストは、水稲7ha規模の経営を対象とすれば9,000円/10a以下、14ha規模ならば15,000円以下の水準を目標に育苗施設を開発する必要がある。
- 担当:農業研究センター・経営管理部・耕種経営研究室(中央農業総合研究センター・経営計画部・耕種経営研究室)
- 連絡先: 0298-38-8420
- 部会名: 経営,総合研究
- 専門: 経営
- 対象: 水稲
- 分類: 研究
背景・ねらい
ロングマット苗移植は、移植作業の省力化・軽労化を通して規模拡大と労働負荷の軽減を図りたい経営や、オペレーターのみで移植作業を効率的に遂行し
たい経営に有効な技術であるが、ロングマット苗の育苗には新たな施設投資を必要とする。そのため、その普及促進に向けては、農業者に受容される育苗コスト
水準の解明が求められていた。
成果の内容・特徴
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ロングマット苗移植は、苗の生産コストが安いか、あるいは、省力技術であるため、経営面積が大きい程、その導入可能性は高まる。
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ロングマット苗移植技術の現地実証事例を素材に、現状規模と、その2倍に規模拡大した場合について、ロングマット苗の育苗コスト水準に対応して収益を最大
化する栽培方法別の作付面積を試算した。現状規模の場合は、ロングマット苗の育苗コストが9,000円/10aを下回る水準から、ロングマット苗移植は稚
苗移植に変わり採用されるようになる。一方、14ha規模になると、省力技術採用への誘因が高まることから、15,000円以下の育苗コストであれば水稲
作付全体の5割を超える面積にロングマット苗移植が導入される可能性がある(表1)。
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ロングマット苗の育苗コストは、表2に示すように、ハウス1回転では10,890円/10a、2回転では7,301円と試算された。したがって、ハウス2回転では現状規模で、また、1回転では14haを超える規模であればロングマット苗移植の導入が期待できる。
成果の活用面・留意点
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ロングマット苗の育苗コストはここでは標準的な費用を積算することで算出した。
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ロングマット育苗施設の経済性は水稲のみに用いる前提で試算を行っており、野菜苗等との汎用利用を実施する場合にはそれらも考慮した評価を行う必要がある。
具体的データ

表1:ロングマット苗の育苗コストに対応した水稲の栽培方法別の導入面積

表2:育苗コスト試算
その他
- 研究課題名:高収益輪作営農の定着条件の解明とモデル策定
- 予算区分 :地域総合
- 研究期間 :平成12年度(平成10~12年)