ディスク駆動式不耕起播種機の導入と接触施肥による乾田直播水稲の生産性向上

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要約

ディスク駆動式不耕起播種機で肥効調節型肥料の40日型:100日型を3:7にブレンドして播種溝に窒素の全量を種子と接触施肥することにより、不耕起乾田直播の収量が向上し、移植と同等かそれ以上の収量が得られる。またこの栽培方式では、10a当りの労働時間は移植栽培より約3時間短縮される。

  • 担当: 農業研究センター・プロジェクト研究第1チーム
  • 連絡先: 0298-38-8512
  • 部会名: 総合研究
  • 専門: 肥料,栽培
  • 対象: 水稲
  • 分類: 普及

背景・ねらい

不耕起乾田直播栽培は、移植栽培に比べて収量が低いとされている。これは、乾田直播では、水稲の窒素吸収力が活発になるまでの初期生育期間を畑条件 下で経過するため、窒素成分は土壌微生物の硝化作用を受けて流亡してしまって基肥の肥効が大きく低下することが原因の一つと考えられる。この問題を解決す るために、ディスク駆動式不耕起播種機での播種作業時に、播種溝に肥効調節型肥料を接触施肥する。この方法を現地の大区画圃場に適応して、収量性や労働時間について移植栽培と比較検討する。

成果の内容・特徴

  • ディスク駆動式不耕起播種機を開発し(図1)、この機械では、窒素は播種溝に肥効調節型肥料で接触施肥できる(図2)。
  • 肥効調節型肥料の40日型:100日型を3:7にブレンドして播種時に窒素の全量を種子と接触施肥することにより、不耕起乾田直播の収量が向上し、移植と同等かそれ以上の収量となる(図3)。
  • 10a当たりの総労働時間は、移植栽培では10.98時間なのに対し、不耕起乾田直播は8.08時間となり、約3時間の投下労働時間の削減となる(表1)。

成果の活用面・留意点

  • 冬期の農閑期に耕起と整地を行い、4月中旬に不耕起播種を行う。
  • 関東以南の平坦部水田に適用できるが、土壌の土質が不耕起乾田直播に適する圃場を選択する。
  • 畦畔をセメント資材で補強し、さらに潅・排水制御設備により、日減水深を20~30mmに抑える。
  • 肥料のリン酸、カリや土壌改良剤は、冬期耕起の時点で施用する。またレーザー均平装置により均平精度を高めておく。
  • 1筆が0.5~2haの大区画圃場が対象となるが、もっと狭い圃場にも適応できる。

具体的データ

図1:ディスク駆動式不耕起播種機の播種作業
図1:ディスク駆動式不耕起播種機の播種作業

 

図2:播種溝における接触施肥
図2:播種溝における接触施肥

 

図3:不耕起乾田直播と移植水稲の収量比較
図3:不耕起乾田直播と移植水稲の収量比較

 

表1:不耕起乾田直播水稲と移植水稲の10a当たりの労働時間
表1:不耕起乾田直播水稲と移植水稲の10a当たりの労働時間

 

その他

  • 研究課題名:水稲直播栽培の高度化技術の開発
  • 予算区分:地域総合(経常)
  • 研究期間:平成12年度(平成10~14年度)