ピーマン栽培土壌からのトウガラシマイルドモットルウイルスの検出法
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要約
スキムミルクと界面活性剤(Tween 20)を含むウイルス抽出用緩衝液を用いると、トウガラシマイルドモットルウイルス(PMMoV)汚染ピーマン圃場の土壌抽出液から、DAS-ELISA法により特異的かつ高率にPMMoVを検出できる。
- キーワード:トウガラシマイルドモットルウイルス、土壌伝染性ウイルス病、スキムミルク、DAS-ELISA法、ウイルス検出法
- 担当:中央農研・病害防除部・病害防除システム研究室、ウイルス病害研究室
- 連絡先:0298-38-8885
- 区分:共通基盤・病害虫(病害)
- 分類:行政・普及
背景・ねらい
難防除土壌病害の一つである土壌伝染性トウガラシマイルドモットルウイルス(Pepper mild mottle virus=PMMoV)は、主に臭化メチル剤の土壌くん蒸により防除されてきた。しかし、オゾン層を破壊する臭化メチルは、土壌くん蒸剤としての使用を 2005年までに全廃することが国際的に合意されている。このため、臭化メチル代替防除技術が確立されていない土壌伝染性ウイルス病防除技術の開発は緊急 の課題である。そこで、PMMoVの土壌伝染による発病予測技術を開発するために、PMMoV汚染圃場の土壌から実用的なウイルス検出法を確立する。
成果の内容・特徴
- ウイルス抽出用リン酸緩衝液(0.05M、pH7.0)にスキムミルクを加えると、DAS-ELISA法により、土壌中の非特異反応を抑え、PMMoVを特異的に検出できる(図1)。
- 2% スキムミルクと0.05% Tween 20 を組み合わせた抽出用緩衝液を用いると、最も高率にPMMoVを検出できる(図2)。
- これらの結果に基づいて、スキムミルクとTween 20を含むウイルス抽出用緩衝液を用いたDAS-ELISA法による土壌からの最適なウイルス検出法を確立した(図3)。
- 図3に示したウイルス検出法により、モザイク症状が発生しているピーマン栽培土壌(茨城県鹿島郡神栖町採集)から、PMMoVを特異的かつ高率に検出できる(表1)。
成果の活用面・留意点
- 本法によりピーマン栽培圃場の土壌中のPMMoVが特異的に検出され、ウイルス病の圃場診断技術として活用できる。
- 本法を用いたウイルス検出結果により、ピーマン次作型における適正な抵抗性品種を選定できる。
具体的データ




その他
- 研究課題名:トウガラシマイルドモットルウイルスの圃場診断技術の開発
- 予算区分:IPMプロ
- 研究期間:2001~2003年度
- 研究担当者:津田新哉、本田要八郎、大木健広、一木珠樹、萩原恭二、大村敏博、 池頭靖夫(片倉チッカリン)