自脱コンバインタンクへの流入穀粒量の計測法

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要約

自脱コンバインの収量モニタとしての穀粒流入量計測装置および計測方法である。連続的な穀粒流量計測に光学式センサを使用し、間欠的な積算穀粒流入量計測に重量式センサを使用する。両方のセンサを併用することで、計測精度が安定する。

  • キーワード:光学式センサ、重量式センサ、併用、収量モニタ、自脱コンバイン
  • 担当:中央農研・北陸水田利用部・作業技術研究室
  • 連絡先:0255-26-3236
  • 区分:関東東海北陸・北陸・経営作業技術
  • 分類:科学・普及

背景・ねらい

圃場内あるいは圃場間の収量のばらつきを把握することは、次年度の施肥や管理の方針を決定する重要な情報になると考えられる。収量を計測するために様々な手法が試みられているが、光学式センサは粉塵の影響を受けやすい、重量式センサは振動の影響を受けやすい、などの問題があり、小さい面積毎の収量計測を行うには精度が不充分である。そこで、自脱コンバインによる収量計測システム確立のために、両センサの欠点を補ったコンバインタンクへの流入穀粒量の計測方法を開発する。

成果の内容・特徴

  • 光学式センサは、1対の投光器と受光器からなり、自脱コンバインの穀粒タンク入り口に取付けられる。投光器と受光器との間を通過する籾により、投受光器間に遮光範囲がつくられ、遮光量に応じて出力電圧(以下光学式センサ出力)が変化する。穀粒流量と光学式センサ出力との間には正の相関がある(図1)。
  • 重量式センサとして、ロードセルが自脱コンバイの穀粒タンク内の下部に固定され、籾の充填量によって変化する垂直方向の荷重を計測する。タンク内籾質量とロードセルからの出力(以下ロードセル出力)との間には正の相関がある(図2)。
  • 穀粒流量と光学式センサ出力との間には正の相関があるが、粉塵や異物の混入によって較正直線が安定しない。そこで、実作業毎のロードセル出力を用いて、光学式センサの較正直線の傾きを補正し、流入穀粒量を算出する(図3)。タンクに籾が流入してくる刈取り中は光学式センサの出力を積算する。旋回・停止時など穀粒タンク内の籾質量が変化しない状態でのタンク内の総穀粒量をロードセルにより計測する。総穀粒量と光学式センサ出力の積算値との比を実作業毎の較正直線の傾きと決定する。
  • 光学式センサ(図1の結果)のみによる穀粒流入量計測では、大きな誤差を生じるが、重量式センサ(図2の結果)を併用することによって、穀粒流入量計測の精度が安定する(図4)。

成果の活用面・留意点

  • 自脱コンバインを対象とした収量計測システムの開発に利用される。
  • センサの種類や取付け位置によって出力は変化するので、その都度較正の必要がある。

具体的データ

図1 穀粒流量に対する光学式センサ出力の変化 図2 タンク内籾質量に対するロードセル出力

 

図3 較正直線決定の流れ 図4 光学式センサ単独と光学式・重量式センサ併用による収量計測誤差分布の比較

その他

  • 研究課題名:コンバインによる収量計測システムの開発
  • 予算区分:軽労化農業
  • 研究期間:2001~2003年度(平成12~14年度)
  • 研究担当者:帖佐直、柴田洋一、大嶺政朗、小林恭、大黒正道
  • 発表論文等:1)Chosa et al.(2001) Third European Conference on Precision Agriculture 779-784
                      2)帖佐ら(2001)特許出願中(特許願2001P120)