地力実態調査及び土壌環境基礎調査基準点調査(一般調査)結果のデータベース化

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要約

本データベースは、全国の公立試験研究機関によって実施された有機物・肥料等の長期連用圃場試験での施肥管理データ、作物データ,土壌の理化学性のデータ等よりなる。長期にわたる養分管理の土壌環境や作物生産への影響解明に活用できる。

  • キーワード:基準点調査、データベース、有機物長期連用、土壌理化学性
  • 担当:中央農研・土壌肥料部・土壌診断研究室
  • 連絡先:0298-38-8901
  • 区分:関東東海北陸農業・関東東海・土壌肥料
  • 分類:行政・普及

背景・ねらい

昭和50年度より平成9年度まで農水省土壌保全対策事業地力実態調査及び土壌環境基礎調査の一環として、全国の公立試験研究機関により農用地の代表的な土壌に、肥培管理や作付体系を異にした調査圃場が設置され、土壌理化学性や作物収量の変化を追跡する基準点一般調査が実施されてきた。しかし、場所によってデータフォームが異なること、データ数が膨大なこと等から、全国を対象とした解析は十分なされていない。そこで、解析が可能な同一フォームによるデータベースを構築し、これを用いた土壌・施肥管理の土壌肥沃度への影響解析の可能性を検討する。

成果の内容・特徴

  • データベースは都道府県毎に作成された作付け体系ファイル、土壌分析ファイル、圃場一覧ファイル、土壌断面ファイルよりなる。作付け体系ファイルは施肥管理データや作物データ等が記載された圃場毎のワークシートから、土壌分析ファイルは土壌理化学性分析データが記載された圃場毎のワークシートから、圃場一覧ファイルは圃場所在地や土壌型等のデータから、土壌断面ファイルは土壌断面調査結果のデータからなる(図1)。
  • 本データベースの調査圃場は222圃場(水田圃場124、畑圃場98)で全16土壌群中15土壌群、20年以上連用された圃場は70圃場、9土壌群にわたる。データはサーバ上のリレーショナルデータベースに格納され、Webブラウザを介してテキスト形式で、自治体名、圃場名、処理区名、調査年次、作物名、肥料施用量、施用有機物名および施用量、収量、土壌の一般理化学性などがダウンロードできる(図2)。
  • 本データベースからのデータを用いた解析事例を示す(表1)。約20年間にわたる窒素無施用の作物収量への影響は、水稲では効果指数66と化学肥料標準区に比べかなりの減収になるものの、経年変化指数97で試験開始当時の収量とほぼ同等の収量が得られた。一方、畑・野菜作物では効果指数41と化学肥料標準区に比べ小さく、また、経年変化指数68で試験開始当時に比べかなりの減収となった。また、長期にわたる有機物施用は水稲、畑・野菜作物ともに増収をもたらした。特に、畑・野菜作で効果・経年変化が大きい。

成果の活用面・留意点

  • 立地環境・養分管理と土壌環境・作物生産の関係解明に活用できる。
  • データベースは土壌診断研究室に設置しているサーバに格納されており、現時点では利用制限されている。
  • Webブラウザでの検索項目、データベースの公表方法は現在検討中である。

具体的データ

図1.データベースの構造

 

図2.Webブラウザ上の検索画面と検索結果

 

表1.約20年間における窒素無施用・有機物施用の作物収量への影響

その他

  • 研究課題名:基準点調査結果のデータベース化と無機質・有機質資材の長期連用による土壌肥沃度の変動解析
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:1999~2001年度
  • 研究担当者:石岡 厳、草場 敬、金森哲夫