予察灯によるアカヒゲホソミドリカスミカメ成虫の初発時期の把握
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要約
斑点米カメムシであるアカヒゲホソミドリカスミカメの越冬世代成虫の出現時期は、予察灯によって簡便に把握できる。
- キーワード:斑点米、アカヒゲホソミドリカスミカメ、越冬世代、予察灯
- 担当:中央農研・北陸水田利用部・虫害研究室
- 連絡先:0255-26-3243
- 区分: 関東東海北陸農業・北陸・生産環境
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
アカヒゲホソミドリカスミカメは、秋期に休眠卵を産下し、卵態で越冬する。休眠卵に由来する越冬世代成虫の羽化時期を把握することは、その後の発生経過を予測するうえで重要である。そこで、調査方法として最も簡便で一般的な予察灯によって、春期の成虫初発時期を捉えることができるか否かを明らかにする。
成果の内容・特徴
- 新潟県上越市において2000年、2001年の春期にアカヒゲホソミドリカスミカメの越冬世代成虫の羽化時期を、予察灯、水田畦畔におけるすくい取り調査、野外条件下での幼虫飼育試験、雌成虫を誘引源とする水盤トラップの4種の方法によって調査した。
- 予察灯(60W白熱灯)による初誘殺は、2000年5月19日、2001年5月9日に認められた(図1)。
- 水田畦畔におけるすくい取り調査では、2000年4月21日、2001年4月16日に1齢幼虫の生息が初めて確認された。両年次とも初確認以降、調査毎に幼虫齢期の進行が認められ、成虫は2000年5月15日、2001年5月7日に最初に確認された(表1)。
- 野外条件で越冬した休眠卵からの幼虫の孵化は、2000年は4月21日から、2001年は4月17日から観察された。越冬卵に由来する成虫の羽化は、2000年5月18~27日、2001年5月13~18日に認められ、羽化は極めて斉一であった。
- 雌成虫を誘引源とした水盤トラップにおける雄成虫の初誘殺は、2000年5月15日、2001年5月9日であった。
- 予察灯による成虫の初誘殺時期は、他の3つの方法による調査結果ときわめてよく一致し、また、春期の気温の違いに起因すると考えられる成虫の発生時期の年次間差を正確に反映している(表2)。
成果の活用面・留意点
- 発生予察における春期の成虫の発生実態の把握に利用できる。
- 新潟県上越市で調査した結果であり、気温の日較差が大きい内陸部や山間部などでは夜温が低いために、野外での羽化時期に比べ予察灯での越冬世代成虫の誘殺時期が遅れるおそれがある。
具体的データ
その他
- 研究課題名:アカヒゲホソミドリカスミカメの基礎的生態と生活史の解明
- 予算区分:新技術実用化
- 研究期間:2000~2002年度
- 研究担当者:高橋明彦、樋口博也