水稲条方向・条間認識に基づくズレ補正による植被率計測精度の安定性向上
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要約
大区画水田圃場での植被率の連続計測における計測領域と計測対象水稲群落の相対位置の変動(回転角と水平方向ズレ)を水稲条方向・条間認識により計測し、ズレを自動補正することで計測精度を安定させる。
- キーワード:画像計測、水稲、植被率、条認識、ズレ補正
- 担当:中央農研・北陸総合研究部・総合研究第1チーム
- 連絡先:0255-26-3218
- 区分:関東東海北陸農業・北陸・経営作業技術、関東東海北陸農業・北陸・総合研究
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
水稲の生育量を知るための調査は、現状では人が直接圃場内に入ることが多いため能率が低く測定点数が限られる。近年圃場面画像マッピングシステム(GIMS)の開発により効率よく植被率を測定し生育量が推定できるようになった。しかし、計測精度は画面の外側になるほど悪くなり、安定している範囲はカメラ高さ2.5mの場合でカメラ直下1m四方(画面全体の20%)と狭く計測領域と計測対象となる群落の相対位置の変動が計測精度に及ぼす影響は無視できない。そこで、計測領域と対象群落のズレを自動的に認識・補正する方法を確立する。
成果の内容・特徴
- 移植圃場等の植被率計測の場合、計測領域と対象群落の相対的な位置関係のズレには回転方向ズレと垂直方向・水平方向ズレがあり、一方向のズレで10%以上の誤差を生じることがある。計測精度に及ぼす影響は水平方向ズレ、回転方向ズレ、垂直方向ズレの順に大きく、ここでは回転方向ズレと水平方向ズレを補正の対象とする(図1)。
- 計測領域と対象群落のズレを補正するために回転角と水平方向ズレ量を計測する。最初に画像を回転させながら計測領域内の垂直方向輝度のバラツキが最小になる画像を求める。次に計測領域内の水平方向輝度分布より水稲条を認識し条間中心が計測領域中心になるように水平方向ズレを補正し計測領域を設定する(図2)。
- 以上の手順によるズレ補正により画像の回転方向ズレ及び水平方向ズレのズレ補正が可能である(図3)。また、図4に示すように圃場全体の植被率の傾向が補正により変わるようなケースもあり、ズレの認識・補正は不可欠である。
成果の活用面・留意点
- 大区画水田圃場における植被率連続計測の際の自動補正法として使用する。
- 供試画像は、GIMSのCCDカメラにバンドパスフィルター(800nm)+レンズ(焦点距離6・、水平包括角度58°)を装着し地上高約2.3mから連続撮影した画像であり、回転角及び水平方向ズレはそれぞれ最大で約10°、約20cmであった。
- 植被率は2条×4株を計測対象とし、水稲の抽出には判別分析法による自動2値化法を用いた。
具体的データ


その他
- 研究課題名:圃場・作物情報収集システムの開発
- 予算区分:地域総合(生育情報)
- 研究期間:1998~2002年度
- 研究担当者:杉本光穂、鳥山和伸、佐々木良治、柴田洋一、帖佐直、大嶺政朗