浅層暗渠施工により早期に砕土率と収量は向上する

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要約

本暗渠を施工した重粘土水田に、浅層暗渠を施工して転換すると、含水比が低くなり砕土率は高くなる。浅層暗渠により施工1年目から砕土率は高くなり、大豆、キャベツの収量も増加する。

  • キーワード:重粘土転換畑、浅層暗渠、砕土率、土壌水分、キャベツ
  • 担当:中央農研・北陸総合研究部・総合研究第2チーム
  • 連絡先:0255-26-3235
  • 区分:関東東海北陸農業・北陸・経営作業技術、関東東海北陸農業・北陸・総合研究
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

水稲の生産調整が取り組まれているが、水田の約30%は畑作への転換が困難な重粘な土壌である。特に北陸地域では重粘土が広く分布しており、転換する場合、速やかに排水を行い、土壌水分を低くして畑作物が栽培できるように細かく耕うんする必要がある。
そこで、圃場整備で施工される本暗渠に加えて、本暗渠の中間・平行に深さ40cmで浅層暗渠を施工した場合の効果を、畑作物・野菜等の初期生育に影響の大きい耕うん時の砕土率、含水比と作物の収量から明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 本暗渠に浅層暗渠を組み合わせた転換畑(浅層暗渠施工区)は、本暗渠施工のみ(対照区)に比べて、含水比が低くなるために、砕土率が高くなる(表1、図1)。
  • 浅層暗渠を施工したことによる施工1年目の砕土率の向上は、本暗渠のみで2年経過したことによる砕土率の向上と同等以上である(図1)。
  • 同じ含水比の砕土率は、転換1年目に比べ3年目以降は高くなる。また3年目と5年目の同じ含水比の砕土率はほぼ同じである(図1)。
  • 浅層暗渠の施工1年目の効果は、5月下旬に施工した場合、施工年の8月上旬の耕うん、10月の耕うん時の砕土率と含水比の差に現れる(図2)。
  • 大豆、大麦、キャベツの収量は、施工年から浅層暗渠施工区の方が対照区よりも多くなり、施工後5年間を通してほぼ同じ傾向である。また平均ではキャベツでの増収効果が大きい(表2)。

成果の活用面・留意点

  • 本試験内容は、降水量が多く重粘土転換畑である北陸でのデータである。
  • 砕土率はアップカットロータリで耕うんした場合の2cm以下の土塊の割合である。
  • 作物の作付けは、大豆・麦・キャベツの2年3作体系である。

具体的データ

図1 転換経過年数と大麦播種時の砕土率

表1 浅層暗渠施工条件

図2 浅層暗渠施工1年目の含水比と砕土率

表2 浅層暗渠区と対照区の収量

その他

  • 研究課題名:暗渠システムの改善による排水技術の確立
  • 予算区分:21世紀7系
  • 研究期間:1997~2001年度
  • 研究担当者:細川 寿、足立一日出、松崎守夫、高橋智紀、伊藤公一、吉田修一郎
  • 発表論文等:細川・伊藤・足立 (1998) 農機学会関東支部講要 34:1-2.