登熟後期の非構造性炭水化物の再蓄積からみた飼料イネ向け品種の特性
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要約
発酵粗飼料向けの飼料イネ品種として、日本型多収品種・系統には、登熟後期に茎部に多くの非構造性炭水化物を再蓄積し、茎葉部での栄養の確保という面で有望なものがあり、品種・栽培条件によってはインド型多収品種並の高い全乾物収量も確保できる。
- キーワード:飼料イネ、発酵粗飼料、非構造性炭水化物、日本型多収品種・系統
- 担当:中央農研・北陸水田利用部・栽培生理研究室
- 連絡先:0255-26-3241
- 区分:関東東海北陸農業・北陸・水田畑作物
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
イネを発酵粗飼料として家畜に供与する場合、未消化子実が多く排泄され、デンプン等の炭水化物のロスが問題となる。そこで、収穫時に茎葉部で多くの炭水化物を確保する必要があるが、品種によっては、茎部に蓄積した非構造性炭水化物(NSC)を、登熟期間に穂に転流させた後、再蓄積することが知られている。飼料イネに望まれる特性として、こうしたNSCの再蓄積能力に着目し、多収品種・系統の検討を行った。
成果の内容・特徴
- 成熟期の全乾物収量確保において、「タカナリ」、「北陸147号」等、インド型品種・系統の生育期間の長いものが有利である(図1)。日本型品種・系統の中でも、「北陸184号」等、インド型に劣らない全乾物収量を確保するものがある。
- インド型多収品種・系統は、穂揃期ですでに高い乾物重を確保するのに対し、日本型で高い全乾物収量を示した「北陸184号」は穂揃期以降、特に登熟期前半の乾物重の増加が大きい(図1)。
- 登熟期間の茎部での非構造性炭水化物の推移から、「ふくひびき」等、日本型多収品種・系統には登熟後期に多くの非構造性炭水化物を再蓄積し、収穫時に茎葉部での栄養を確保する上で有利なものがある(図2)。
- 登熟後期の茎部の非構造性炭水化物の再蓄積は、栽培条件により変動し、高密度条件や多肥条件では低下する場合がある(図3、4)。
- 以上、イネを発酵粗飼料として利用する場合、日本型多収品種・系統には、登熟後期に茎に多くの非構造性炭水化物を再蓄積し、収穫期に茎葉部での栄養を確保する上で有望なものがあり、品種や栽培条件によっては、インド型多収品種並みの全乾物重が確保できる。
成果の活用面・留意点
- 本研究は湛水散播直播の栽培条件で行った。
- 分析に供した茎部は稈と葉鞘を含む。
- 家畜の嗜好性及び発酵品質等との関連は別途検討が必要である。
具体的データ


その他
- 研究課題名:散播直播栽培における飼料用超多収稲の生理生態特性の解明
- 予算区分:地域実用化
- 研究期間:1999~2001年度
- 研究担当者:山口弘道、松村修
- 発表論文等:1)山口・松村(2001)北陸作物学会報36:75-77