ケナフの省力収穫・搬出作業技術
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要約
ケーンハーベスタを改造する事により、各部への繊維の巻付きを抑え、茎切断長を約22cmに調製して収穫・搬出する、ケナフの収穫作業技術を開発した。搬出をネットバッグ方式あるいは伴走ワゴン方式にすることにより、圃場の面積・状況に応じて効率的な作業が可能である。
- キーワード:ケナフ、収穫・搬出、ケーンハーベスタ
- 担当:中央農研・作業技術研究部・農産エネルギー研究室
- 連絡先:0298-38-8909
- 区分:関東東海北陸農業・関東東海・作業技術
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
ケナフは、草丈が長大で収穫に多くの労力を要す。これまでコーンハーベスタによる収穫が試みられているが、収穫物を細断するため用途が限定される。そこでケナフ繊維の特長である長い繊維を細断することなく収穫・搬出する作業技術を実現し、ケナフ栽培の振興を図る。
成果の内容・特徴
- ケーンハーベスタ(B農機 HC-50,56.6kW)をベースマシンとしたケナフ収穫機は、着脱可能な搬送装置を装備しており、作業体系をネットバッグ(容量1.95m3)方式とより大きな圃場を想定した伴走ワゴン方式に対応可能(図1)である。
- 刈り取り部の円筒ドラムの直径を20cmに広げ、バットリフタの高さを15cmに抑えることでかき込み経路の制限とバットリフタによるケナフの持ち上げ角度を小さくしており、ドラム背面に接線と45°の角度にスクレーパ(刃物)を取り付けることで、繊維の円筒ドラムへの巻付きを解消している。機体内部の搬送ローラの間隔をケナフの特性に合わせて調整し、各部への絡み付きを解決している。(図2)
- 本機は刈り幅1.2m(播種間隔90-30-90cm)の2条刈りである。ケナフを(1)前方に倒しながらディスクカッタで切断、(2)収穫機内部の搬送ローラで後方に送りながら脱葉、(3)チョッピングカッタで茎を切断、(4)風選ファンにより葉および未熟部位を分別除去、(5)ネットバッグに回収または伴走ワゴンに搬送、の順に作業を行う。開花時期(11月上旬)以降の収穫に有効である。
- 作業速度は0.4~0.9m/sであるが、速度に関係なく茎長を約22cmに切りそろえる。
- 作業人員は、ネットバッグ方式が1人、伴走ワゴン方式が2人である。ネットバッグ方式の場合、満載となったネットバッグの搬出(移動・ネットバッグ脱着)のため、作業能率が低くなる。伴走ワゴン方式の圃場作業量は、ネットバッグ方式の約2倍である(表1)。
成果の活用面・留意点
- 本機を有効に活用するためには、圃場の長さが50m以上で、30ha程度のまとまった団地での作付が望ましい
- 靭皮剥ぎとりなどの調製技術とともに、収量に対応した収穫・搬出・調製・加工に至る一貫作業システムが必要である。
具体的データ


その他
- 予算区分:行政対応特研
- 研究期間:1999~2001年度
- 研究担当者:小林有一、飯嶋渡、谷脇憲、大塚寛治、杉本光穂、小林恭
- 発表論文等:1) OTSUKA et al.(2000)The 2000 international kenaf symposium Hiroshima:133-138
2) 小林ら(2001)農作業研究、36(別1)65-66
3) KOBAYASHI et al.(2001)Fourth Annual American Kenaf Society Conference: 25