リッジ回帰を利用した平年収量算出プログラム

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要約

部分スプラインとリッジ回帰を組み合わせた方法に基づく回帰を行うためのプログラムである。水稲の平年収量を算出するために利用する。リッジ回帰を利用しているので、気象要素の間に相関が強い場合にも対処できる。

  • キーワード:収量予測、ノンパラメトリック回帰、部分スプライン、リッジ回帰
  • 担当:中央農研・農業情報研究部・営農情報システム研究室、農林水産省 大臣官房 統計情報部
  • 連絡先:0298-38-7176
  • 区分:関東東海北陸農業・農業情報研究
  • 分類:行政・参考

背景・ねらい

農林水産省 統計情報部における水稲の平年収量の算出には、平成9年産の水稲から部分スプラインが利用されている。これは、収量の年次による変化をスプライン関数で表し、気象条件による変化を重回帰式で表し、両者の和を収量とするものである。
この方法の精度を更に高めるために、B-スプラインやリッジ回帰の手法を導入することが考えられる。そこで、Visual Basicを利用して開発したのが、このプログラムである。

成果の内容・特徴

  • 入力ファイルも出力ファイルもCSV型式(カンマで区切った型式)である。
  • ボタンのクリックと、幾つかの数値の入力だけで操作を進めることができる。入力ファイルと出力ファイルの内容を画面上で確認できる。気象要素の選択も容易である。(図1)
  • リッジ回帰を応用した手法なので、気象要素の相互に相関が強い場合にも得られる回帰係数は誤差に左右されにくい。また、回帰係数の符号が作物学的な知見に矛盾しないものになることが多い。
  • 得られた回帰式を画面上で確認することができる(図2)。
  • リッジ定数(リッジ回帰のための定数)、平滑化パラメータ(平滑化の程度を示す定数)の両方をGCV(一般化クロスバリデーション)を利用して最適化できる(図3)。
  • スプライン関数を外挿することによって将来の収量を予測することができる(図4)。

成果の活用面・留意点

  • リッジ回帰と組み合わせることが容易になることから、部分スプラインを導出するにあたってB-スプラインを利用しているので、計算量がやや多い。
  • 本プログラムはVisual Basic 6.0Jを用いて作製されたものなので、プログラムをコンパイルしたものは実行形式のファイルになる。従って、WindowsをOSとして利用する殆どのパソコンで、Visual Basic 6.0Jを利用せずに実行できる。ランタイム(Visual Basicの機能を向上させるためのプログラム)も必要ない。
  • 本プログラムは、部分スプラインを導出するための一般的な内容を持つものなので、平年収量を求める目的以外にも利用できる。
  • GCVの値と作物学的な知識の両方を利用して気象要素の選択を行う。
  • 農林水産省大臣官房統計情報部では、平成13年に「水稲平年収量等に関する研究会」を設け検討を行ったが、その研究会の提言を踏まえ、本プログラムを利用して検討を続けている。

具体的データ

図1 データ入力画面(入力ファイルの内容 図2 回帰式の表示

 

図3 リッジ定数と平滑化パラメータをGCV を用いて最適化 図4 気象要素の値が平均値に等しいと仮定したときの収量

その他

  • 研究課題名:モデル作成のための対話型プログラムの開発
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2001~2003年度
  • 研究担当者:竹澤邦夫
  • 発表論文等:水稲平年収量等に関する研究会報告.
                      水稲平年収量等に関する研究会(農林水産省 大臣官房 統計情報部)