家畜排泄カリウムの原単位試算と活用例
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要約
家畜が排泄するカリウム(K)原単位を「畜産統計」に採用されている家畜の種類・用途・年月齢毎に原単位を試算した。また、原単位活用例として各地域におけるK排泄量を試算して示す。
- キーワード:カリウム、カリウム原単位、家畜排泄カリウム、畜産統計
- 担当:中央農研・関東東海総合研究部・総合研究第5チーム
- 連絡先:0298-38-8527
- 区分:関東東海北陸農業・関東東海・総合研究
- 分類:行政・参考
背景・ねらい
当チームは家畜から排泄される窒素、リンの原単位(g/日/頭羽)推定値を試算して、我が国における家畜排泄窒素、リンによる畜産環境負荷評価等を行ってきた。今回、これまで試算例報告の無いカリウム原単位について試算を行い、その活用例を示す。
成果の内容・特徴
- カリウム原単位を家畜が一日、一頭羽当たり排泄するカリウム(K)量と定義して、カリウム原単位(g/日/頭羽)=K摂取量-(K体成分蓄積量+乳卵へのK移行量+その他K損失量)----1)を適用する。1)式の各項目数値を関連資料データから推定する。その他損失量とは発汗、脱毛等による損失である。
- カリウム原単位は農林水産省統計情報部発行の「畜産統計」に採用されている家畜の種類・用途・年月齢毎に試算する(表1)。家畜毎の原単位は用途・年月齢毎の原単位を平成11年畜産統計記載の飼育頭数で重み付けして計算した平均値である。参考として表1にはカリウムの他に窒素、リンの原単位も示す。
- 原単位の活用例として平成11年における我が国の窒素、リン、カリウムの地域別家畜排泄量試算を行い作物養分吸収量試算値と共に示す(表2)。家畜排泄負荷とこれを受容する作物養分吸収量の比較の目安となる。作物養分吸収量の計算には農林水産省発行の各種統計資料(作物、野菜、果樹)に記載された農作物生産量、作物別養分吸収量原単位、及び表1の家畜排泄原単位を用いている。
成果の活用面・留意点
- 家畜排泄物を有機質肥料として評価する場合、これまで主に窒素、リンの排泄量をもとに行われてきたが、カリウム排泄量を加えることが出来る。
- 我が国における公式統計である「畜産統計」に採用されている家畜の種類・用途・年月齢毎に試算したので、家畜毎の原単位に比較して、より詳細な肥料、負荷評価等が可能である。
- 原単位推定式1)における各項目値は、乳肉へのカリウム移行量を除いて、関連データがほとんど見あたらないので、独自の推定によったが、その推定方法の記述は発表論文等の文献を参照されたい。今後、原単位数値の改善のため、関連データの提供が求められる。
- 表1、表2のリン、カリウムはリン原子(P)、カリウム原子(K)であり、リン酸(P2O5)、酸化カリウム(K2O)ではない。
具体的データ
その他
- 研究課題名:関東東海地域における未利用有機資源の発生量および利用に関する実態解析
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2001~2003年度
- 研究担当者:生雲 晴久、山口 武則、山本 直之
- 発表論文等:1.生雲、農業技術、56(9)、37~40、2001
2.生雲、畜産技術、560(1)、46~49、2002