各種ソラマメウイルトウイルスの検出、識別技術
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要約
日本に発生するソラマメウイルトウイルス(BBWV)の多くはBBWV-2であるが、新種のBBWV-3も存在する。これらは血清学的手法(DAS-ELISA法)により識別することができる。
- キーワード:ソラマメウイルトウイルス、アミノ酸配列、DAS-ELISA、種の識別
- 担当:中央農研・病害防除部・ウイルス病害研究室、病害防除システム研究室
- 連絡先:電話029-38-8932、電子メールtoomura@affrc.go.jp
- 区分:共通基盤・病害虫(病害)
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
ソラマメウイルトウイルス(Broad bean wilt virus: BBWV)は宿主範囲が広く、日本各地で多数分離されている。これまで海外で分離されたBBWVの多くは血清学的手法(寒天ゲル内二重拡散法)により2つの種(BBWV-1およびBBWV-2)に分類されてきたが、同手法では分類を誤る可能性のあることが最近の研究から示唆されている。そこで、日本に発生するBBWVの分類学的な位置づけを明らかにし、各ウイルス種を検出、識別するための手法を開発する。
成果の内容・特徴
- BBWVの精製法を確立し、BBWV-1およびBBWV-2の抗血清を作製し、DAS-ELISA法により両種の検定を可能にした。
- 国内16県で採集したピーマン等18種の罹病植物より検出された34分離株はBBWV-2であり、BBWV-1は検出されなかった。
- BBWV-2の抗血清と弱い反応が認められた2分離株(リンドウ分離株:AFV1およびN-1)は、粒子形態、核酸と外被蛋白質のサイズ、外被蛋白質のアミノ酸配列(図1)からファバウイルス属の新種であることが判明し、BBWV-3と提唱する。
- BBWV-3の抗血清を作製し、DAS-ELISA法によりBBWV-1、BBWV-2、BBWV-3の検出および識別を可能にした(表1)。
- 3種BBWVの外被蛋白質アミノ酸配列の相同性と血清反応(表1)との間に相関性が認められた。
成果の活用面・留意点
- BBWV-1、BBWV-2およびBBWV-3の抗血清を用いることにより、BBWVによる病害の確実な診断が可能となる。
具体的データ


その他
- 研究課題名:リンドウの弱毒ウイルスの検出および定量技術の改良
- 予算区分:地域先端
- 研究期間:1999. 2001年度
- 研究担当者:小林有紀、御子柴義郎、内藤孝(沖縄農試)、萩原恭二(特別研究員)、本田要八郎、大村敏博
- 発表論文等:1)Kobayashi et al.(1999)Arch. Virol. 144:1429-1438.