ディスク駆動式汎用型不耕起播種機による大豆不耕起狭畦栽培技術

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要約

ディスク駆動式汎用型不耕起播種機を用い、畦幅30cm間隔で大豆を播種する不耕起狭畦栽培を実施することで、播種期の作業の効率化、降雨による播種遅延の緩和、狭畦化による抑草と中耕培土の省略が可能となり、耕起栽培と同等以上の収量が得られる。

  • キーワード:不耕起栽培、ディスク駆動式汎用型不耕起播種機、狭畦栽培、抑草効果
  • 担当:中央農研・関東総研部・総研1
  • 連絡先:電話029-838-8512、電子メールumemoto@affrc.go.jp
  • 区分:共通基盤・総合研究、関東東海北陸農業・総合研究
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

関東東海平坦水田地帯の大規模水田作経営は、麦大豆作の中核的担い手として一層の規模拡大と麦・大豆収量の高位安定化が期待されている。しかし、それら大規模経営が大豆を耕起播種する場合は、前作麦との作業競合や降雨から、播種期遅延による減収や品質低下が生じやすい。そのため、降雨後も早期に播種作業が実施できる省力的な大豆栽培技術が求められている。

成果の内容・特徴

  • トラクタ牽引型で、強制回転するディスクでY字型の溝を切り溝内に播種するディスク駆動式汎用型不耕起播種機を用いた大豆不耕起狭畦栽培では、播種時期に断続的な降雨がある条件でも適期播種が可能である。また、狭畦栽培により中耕培土作業を実施しないことから、当該時期の省力化が図れる(図1)。耕起栽培に比べ不耕起狭畦栽培の労働時間は1.64時間/10a短縮され、費用合計は変わらない(表1)。
  • 播種前に麦稈を細断して拡散するとともに、明渠、殺菌剤の種子粉衣等湿害対策を講じることで、不耕起狭畦栽培の苗立ち率が高まる。収量は慣行耕起栽培と同等以上の水準にあり、また、品質を示す百粒重や蛋白はほぼ等しい(表2)。
  • 不耕起狭畦栽培では、雑草発生が多くなりがちな転換2年目においても雑草の増加を抑えることができる(図2)。
  • 線形計画法により新水田輪作体系の導入効果を分析すると、不耕起麦-大豆の採用等により一層の規模拡大が可能となり、労働生産性や農業所得は、現地実証経営の現状水準の約2倍となる。また、そこでの麦-大豆作は、全て不耕起栽培が採用される(図3)。

成果の活用面・留意点

  • ここでの作付体系は、水稲(移植栽培)-水稲(乾田直播)-麦(耕起)・大豆(不耕起狭畦)-麦(不耕起)・大豆(不耕起狭畦)の4年6作の輪作体系を前提としている。また、労働時間は、平坦地の大区画汎用水田での作業を前提としたものである。なお、実証試験において、品種はタチナガハを用い、播種は6月中下旬に実施している。
  • 前作の麦作時に明渠、弾丸暗渠を必ず施工するとともに、土壌改良資材や残さのすき込み、圃場面の均平化が必要な場合は、麦作時にロータリ等で耕起・整地する。また、踏圧等の害を抑えるため、防除の際は管理機の走行路を固定する。
  • 播種後、茎疫病が発生した場合には、オキサジキシル・銅水和剤を散布する。

具体的データ

図1 大豆不耕起狭畦栽培と慣行耕起栽培の作業体系

 

表1 大豆の栽培方法と生産費

 

表2 栽培方法別大豆の収量・品質 図2 ダイズ収穫時の雑草量

 

 

図3 ロングマット苗移植-乾田直播-麦大豆不耕起栽培による水田輪作体系の生産性向上効果

その他

  • 研究課題名:不耕起播種による大豆・麦の省力安定多収栽培技術の体系化
  • 予算区分:21世紀7系
  • 研究期間:2001~2003年度
  • 研究担当者:浜口秀生、中山壮一、梅本雅