多収でルチン含量が改善されたそば新品種「とよむすめ」
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要約
そば「とよむすめ」は草丈が高く、主茎節数が多く、分枝数・1株花房数は中で、直立分枝伸長型の草型を持ち、生態型は中間型である。多収でルチン含量がやや高い特性をもつ。
- キーワード:そば、直立短枝型、中間型、ルチン、多収
- 担当:中央農研・北陸水田利用部・畑作物育種研究室
- 連絡先:電話0255-26-3246、電子メールsps0715@affrc.go.jp
- 区分:関東東海北陸農業・北陸・水田畑作物
- 分類:技術・普及
背景・ねらい
国産そばは輸入そばに比べて風味が高く、嗜好の高級化傾向から実需者に高い評価を受けている。しかし、そばの国内消費量はここ数年確実に増加しているが、その約8割を輸入に頼っている状況である。また、そばは近年健康食品・機能性食品としての評価も高めており、特にそばに多く含まれるルチンは、毛細血管の働きを安定・強化させ、脳出血や出血性の病気に予防効果があるといわれている。そのため生産現場からは、収量性があり、高ルチンなどの特徴を持ち、そばにして風味が良い品種が求められている。そこで、優良形質かつ高ルチン含量のそば品種を育成する。
成果の内容・特徴
- 「とよむすめ」は「葛生在来」を育種素材として育成した。平成6年に1000個体から栽培特性、種子量、種子の形態から24個体を選抜し、平成7年に各個体の由来の24系統から12系統を、平成8年にルチン含量で7系統を選抜し、平成8年度に生産力試験で1系統を選抜して育成した系統である(表1)。
- 子実重、千粒重、容積重とも信濃1号より多い。
- 製粉歩留は「信濃1号」と同程度で、ルチン含量はやや高い。
- 生態型は中間型で草型は直立短枝型である。
- 開花期は「信濃1号」に比べてやや遅く、成熟期は6日遅い。
- 草丈、主茎長は「信濃1号」に比べ20cm長く、主茎節数がやや多く、分枝数は同程度 である。1株花房数はやや多い。
- 親品種である「葛生在来」とはルチン含量が高く、千粒重が大きいことで区別できる(表2)。
成果の活用面・留意点
- 「とよむすめ」は生態型が中間型であることから、本州での栽培に適応する。
- 耐湿性は強化されていないので、排水対策を要する。
- 脱粒性は改善されていないので、適期収穫に努める。
- 計画的な種子更新を計り、特性の維持に努める。
- 広島県で40haの栽培が予定されている。
具体的データ


その他
- 研究課題名:高ルチン・高品質ソバ品種の開発
寒冷地および温暖地向き高品質・多収そば品種の開発
- 予算区分:交付金、新需要
- 研究期間:1994~2002年度
- 研究担当者:伊藤誠治・大澤良(筑波大学)・堤忠宏・馬場孝秀・荒川明・林敬子・中村恵美子