ニンジン・ダイコン作付体系へのサトイモ導入効果

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

ニンジン連作畑やダイコンとニンジンの輪作畑にサトイモを作付けすると、キタネグサレセンチュウ数を減らすことができ、連作による減収を回避することが可能である。

  • キーワード:ニンジン、ダイコン、サトイモ、キタネグサレセンチュウ、輪作
  • 担当:関東野菜研究グループ(野菜茶研・葉根菜研究部・生産システム研究チーム)
  • 連絡先:電話029-838-8529、電子メールatsuko@affrc.go.jp
  • 区分:関東東海北陸農業・関東東海・野菜
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

ニンジン・ダイコンはともにキタネグサレセンチュウの寄主作物で、連作によりセンチュウを原因とする品質低下や収量低下などの問題が発生する。一方、これらの重量野菜の販売は輸入野菜との競合等で厳しい状況におかれている。このような状況においては差別化を図るためにも、殺線虫剤等の農薬に代わり経営に取り込みやすい収益作物による環境保全的防除・生産安定技術の確立が急務である。そこでニンジン・ダイコンの作付体系において、キタネグサレセンチュウの非寄主作物であるサトイモの作付けによるセンチュウ防除を含む生産安定化技術を開発する。

成果の内容・特徴

  • キタネグサレセンチュウ被害が見られるニンジン連作畑においてサトイモを作付けすると、作付けしない場合に比べ増収する(表1枠部分)。
  • ニンジン連作区及びダイコン-ニンジン輪作区においてサトイモを作付けすると、作付後にキタネグサレセンチュウの密度が減少する(図1)。その効果は次年度春作作付後まで持続可能である。
  • キタネグサレセンチュウ数の推移に施肥による差は見られない。

成果の活用面・留意点

  • キタネグサレセンチュウ密度が高い畑の場合、単年度のサトイモ作付では要防除水準(ニンジン:およそ15-20頭/20g土、ダイコン:およそ4-5頭/20g土)以下まで密度が下がらず、効果が明白に現れない場合もある。
  • 用いた品種はニンジンは‘向陽二号’(タキイ種苗)、ダイコンは‘献夏青首’(サカタのタネ)、サトイモは‘石川早生’である。

具体的データ

表1 作付体系毎の全収量(t/10a)の推移

 

図1 土壌20g あたりのキタネグサレセンチュウ数の推移(n=9)

その他

  • 研究課題名:ニンジン、ダイコンに対する作付体系を考慮した環境保全的施肥技術の開発
  • 予算区分:関東平野高品質野菜
  • 研究期間:1997~2001年度
  • 研究担当者:浦上敦子、中川 泉、山田 盾、山崎 篤、森下昌三、浦嶋泰文、佐藤文生