トラクタ操縦装置情報に基づく作業機制御のためのネットワークの構築

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要約

トラクタ操縦装置の状態を計測するマイコンと、作業機コントローラを同一のネットワークに接続して通信を行うことにより、少ない配線でデータを伝達することが可能になり、操縦装置の操作量に応じて作業機を自動制御できる

  • キーワード:CAN、トラクタ、操縦装置、作業機、制御
  • 担当:中央農研・作業技術研究部・機械作業研究室
  • 連絡先:電話029-838-8813、電子メールzentei@affrc.go.jp
  • 区分:関東東海北陸農業・関東東海・作業技術
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

現在、トラクタに作業機を装着する際、作業機ごとに専用のコントローラをトラクタに搭載し、作業速度に応じて設定を手動で変更する必要がある。今後作業機がインテリジェント化するに従い、設定項目や操作量が多くなり、手動設定が困難になると考えられる。この研究では、トラクタ操縦装置の状態を計測するマイコンと、作業機コントローラを同一のネットワークに接続して通信を行うことにより、コントローラの設定を自動化し、操縦装置の操作量に応じて作業機を自動制御することを目的とする。

成果の内容・特徴

  • 市販のトラクタ(出力36.8kW)に車載ネットワークとして実績のあるCAN(Controller Area Network)を利用した、図1に示すようなネットワークシステムを構築する。マイコンはAD変換器やタイマ、CANコントローラを内蔵しており、ネットワークにトラクタ操縦装置に取り付けられた表1に示すようなセンサ情報を送信する。センサ情報にはそれぞれ識別子(Identifier)がつけられており、信号は優先度が高いものほど先に送信される。
  • 作業時は作業機側に取り付けたコントローラがネットワーク上の情報を、識別子を基にセンサ情報の種類を判断し、必要なデータを機器の制御に反映させる。例えばロータリシーダを制御するには、ロータリシーダ側のコントローラがトラクタのエンジン回転数、主変速、副変速の設定値、クラッチの状態を読み出して繰り出し量を制御する。(図2)
  • ネットワークに送信されるトラクタ操縦装置の情報はいつも同じなので、作業機ごとにコントローラを搭載し、読み出すネットワーク上の情報とデータの計算方法を記述したソフトウェアを書き込めば、容易に他の作業機を制御することができる。これにより、作業機を交換する毎に新たな設定をする必要はなくなる。
  • ネットワーク上に新たなセンサが付加された場合や、機器が更新された場合など、コントローラのソフトウェアをバージョンアップすることにより対応できる。

成果の活用面・留意点

  • 現在すでに使用されているトラクタに対応するためには、さらに簡易にこのネットワークシステムを搭載できる技術の開発が必要である。
  • センサ、作業機等のメーカーが異なっても接続できるようにし、着脱を容易にするためには、トラクタと作業機の結線のためのコネクタの形状やプロトコルを統一する必要がある。

具体的データ

図1 構築したネットワークシステム

 

表1 送信される情報と検出方法

 

図2 操縦装置情報の伝達

その他

  • 研究課題名:標準プロトコルによる原動機搭載ネットワークシステムの開発
  • 予算区分:パイオニア
  • 研究期間:2000~2002年度
  • 研究担当者:長坂善禎、金谷豊、梅田直円、谷脇憲、奥野林太郎(北農研)、西脇健太郎(東北農研)、
                      元林浩太(畜草研)