酸性電解水の温湯処理による水稲種子伝染性病害の防除
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要約
水稲種子の酸性電解水(pH2.2、有効塩素濃度80ppm)による密封容器内での温湯浸漬処理(40℃、24時間)は、種子伝染性のいもち病、ばか苗病、苗立枯細菌病および褐条病の防除に有効である。
- キーワード:水稲種子、酸性電解水、温湯浸漬処理、いもち病、ばか苗病、苗立枯細菌病、褐条病
- 担当:中央農研・病害防除部・糸状菌病害研究室
- 連絡先:電話029-838-8940、電子メールyasuda@affrc.go.jp
- 区分:関東東海北陸農業・関東東海・病害虫
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
近年、電解水を利用して化学農薬の使用量を減らした作物病害防除法の検討が各地で行われている。水稲の種子消毒でも、化学農薬の種子消毒剤の代わりに酸性電解水を用いた消毒効果試験が行われているが、実用可能な防除効果が得られていない。そこで、酸性電解水の加温処理による水稲種子の消毒効果を検討する。
成果の内容・特徴
- 酸性電解水の生成方法:電解質として塩化カリウムを添加した水道水を、X社製の酸性電解水製造装置で電気分解して、pH2.2、有効塩素濃度80ppmの酸性電解水を生成する。
- 水稲種子の消毒方法:酸性電解水を充満させた密封容器内で水稲種子を24時間浸漬する。浸漬時の浴比は種子1につき酸性電解水10~20の割合とし、この密閉容器を40℃の温湯中に静置する。
- いもち病、ばか苗病の自然感染籾を酸性電解水で40℃、24時間処理した場合、水道水40℃処理と比較してもいもち病、ばか苗病の苗における発病が抑制される(表1)。この消毒効果は、市販の化学農薬とほぼ同程度である(表2)。
- 苗立枯細菌病、褐条病の開花期接種籾を酸性電解水で40℃、24時間処理した場合、苗での発病が抑制される(表3)。
成果の活用面・留意点
- もみ枯細菌病では消毒効果が期待できない。
- 酸性電解水の温湯処理により苗立数は平均約6%低下するが、実用上問題ない。
具体的データ



その他
- 研究課題名:無病化種子、機能水消毒を核とした主要病害の総合防除技術の確立
酸性電解水を利用した種子消毒法の体系的利用技術の実証
- 予算区分:IPMプロ
- 研究期間:1999~2002年度
- 研究担当者:安田伸子、園田亮一、岩野正敬、宮坂篤、小泉信三
- 発表論文等:1)園田 ら(2002) 関東病虫研報 49:7-11.