水田において茎切片から再生するイネ科多年生雑草の除草剤に対する反応
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要約
水田において茎切片から再生するイネ科多年生雑草であるアシカキ、ハイコヌカグサに対しては除草剤ベンゾビシクロンが、チクゴスズメノヒエに対してはビスピリバックNa塩液剤およびシハロホップブチルが、その生育抑制に有効である。サイズの小さな茎切片への処理、あるいは再生後早期の処理により、抑制効果が向上する。
- キーワード:アシカキ、チクゴスズメノヒエ、ベンゾビシクロン、シハロホップブチル、ビスピリバックNa塩
- 担当:中央農研・耕地環境部・水田雑草研究室
- 連絡先:電話029-838-8953
- 区分:共通基盤・雑草、関東東海北陸農業・関東東海・水田畑作物
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
近年、水田内で約10種の匍匐性イネ科多年生雑草が増加傾向にある。これらは除草剤に対する反応において共通点と相違点があるため、効果的な制御方策確立の障害となっている。イネ科多年生雑草の水田における生態的特性に基づいた効率的制御手法の確立に資するため、茎切片から再生する個体について、除草剤による生育抑制効果を検討する。
成果の内容・特徴
- ベンゾビシクロン含有除草剤は、水田において茎切片から再生するアシカキの生育を抑制するが、チクゴスズメノヒエの生育は抑制しない。また同剤はハイコヌカグサに対しても有効であるが、ギョウギシバやチゴザサに対しては効果が低い(図1、2、3)。
- シハロホップブチル含有除草剤は、上記と同様に再生するチゴザサ、ハイコヌカグサ、ギョウギシバ、チクゴスズメノヒエなどの生育を抑制するが、アシカキの生育は抑制しない(図1、2)。
- ビスピリバックNa塩液剤は、アシカキやキシュウスズメノヒエ、チクゴスズメノヒエの生育を抑制するが、ギョウギシバやチゴザサに対しては効果が低いため、生育を十分に抑制できない(図4)。
- 茎切片のサイズが大きいほど再生する個体の生長が早く、大きい個体に対しては除草剤の効果が低下する(図2、3)。
成果の活用面・留意点
- 水田内において茎切片から再生するイネ科多年生雑草の除草体系の策定に活用する。
- イネ科多年生雑草の簡易な識別には「草調べシート」(H9年度成果情報)が活用できる。現在「草調べシート」の改訂版を作成中であり、問い合わせに応じて担当研究室から配布する予定である。
- イネ科多年生雑草が畦畔から匍匐茎によって水田内に侵入する場合については、別途検討する必要がある。
具体的データ


その他
- 研究課題名:イネ科水田多年生雑草の生態的特性に基づく効率的制御技術の確立
- 予算区分:新雑草防除
- 研究期間:2000~2002年度
- 研究担当者:牛木純、森田弘彦(九農研)、川名義明