客土等によるホウレンソウ栽培におけるカドミウム吸収抑制
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要約
ホウレンソウのカドミウム濃度は、汚染土壌への客土や天地返しによって低減することができる。客土厚が十分に確保できない場合でも、透水遮根シートで根域を制限することによりカドミウムの吸収が抑制される。
- キーワード:ホウレンソウ、カドミウム、吸収抑制、天地返し、客土、透水遮根シート
- 担当:関東野菜研究グループ(野菜茶研・葉根菜研究部・土壌肥料研究室)
- 連絡先:電話059-268-4645、電子メールkikuchi@affrc.go.jp
- 区分:関東東海北陸農業・関東東海・土壌肥料、関東東海北陸農業・関東東海・野菜
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
食品中のカドミウム濃度について新たな国際基準値が検討されており、日本においても早急な対応が必要であるが、野菜のカドミウム吸収に関する知見は少なく、対策技術に関する研究事例も極めて乏しい現状にある。そこで、カドミウムを蓄積しやすいホウレンソウについて、根系分布との関連から、吸収抑制技術の効果を検証し、対策方法の確立に資する。
成果の内容・特徴
- ポット(直径30cm、深さ60cm)を用いたモデル試験において、カドミウム汚染土壌に非汚染土壌を客土してホウレンソウ(品種:‘アクティブ’)を栽培した場合、客土厚が40cmでは根の90%以上が客土中に存在し(表1)、可食部のカドミウム濃度は非汚染土壌区と同等まで低下した。20cmでも吸収抑制効果は見られるものの、その効果は40cmと比較して低い(表2)。
- 客土厚が20cmの場合でも、透水遮根シートを設置し、根域を制限することによって、ホウレンソウのカドミウム濃度の低減が可能である(表3)。
- カドミウム汚染地帯の天地返し施工圃場で栽培されたホウレンソウのカドミウム濃度は、未対策圃場で栽培されたものの50%以下となった(表4)。
成果の活用面・留意点
- ホウレンソウ栽培におけるカドミウム吸収抑制技術開発の参考となる。
- 本研究における客土処理では、床締めは行っていない。
- 客土厚や反転土層の厚さを決める際は、土壌条件や品種等により、根系分布が変動する可能性があることに留意する。
具体的データ



その他
- 研究課題名:野菜のカドミウム吸収の実態把握と吸収抑制技術の開発
- 予算区分:カドミウム
- 研究期間:2000~2002年度
- 研究担当者:菊地直、山崎浩道、木村武、宮地直道、村上弘治