40歳代の低所得階層で大きく減少した米の家庭内消費
※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。
要約
本来最も米の購入量の多かった40歳代の低所得階層で1987年から1997年にかけて購入量の顕著な減少が観察された。1997年以降は全般的に下げ止まり傾向が確認され、また、高所得階層で高単価の米を、低所得階層で低単価の米を購入する傾向がみられる。
- キーワード:米、家計調査個票、世帯類型別、年間収入別、購入単価、購入数量
- 担当:中央農研・経営計画部・マーケテイング研究室
- 連絡先:電話029-838-8855、電子メールisibasi@affrc.go.jp
- 区分:関東東海北陸農業・関東東海・経営
- 分類:行政・参考
背景・ねらい
近年における米の家庭内消費量の減少を世帯類型別・年間収入別に解明する。そのため、個票データを用いて世帯を類型化し、さらに年間収入別に分類することで、世帯要因を排除した年間収入と購入数量・単価との関連を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 世帯類型別に購入単価と購入数量の変化をみた(図1)。「40歳代夫婦と10歳代2人」の多くを占める収入階層(年収600~800万円)で、米の購入単価は10kg当たり1987年の約5,500円から2001年の4,000円に低下した。また購入数量はこの期間に1ヶ月当たり14.9kgから8.6kgへと、他の類型より顕著に減少した。
- 「50歳代夫婦と20歳代1人」の多くを占める収入階層(年収1,000万円以上)では、この期間に購入単価は10kg当たり約5,750円から4,500円に低下し、購入数量は1ヶ月当たり10.3kgから7.8kgとなった(図1)。
- 「60歳代夫婦のみ」の多くを占める収入階層(年収200~400万円)は、「50歳代夫婦と20歳代1人」(年収1,000万円以上)の世帯を先行するかたちで購入単価は大きく低下するが,購入数量の減少は,他の類型より小さい(図1)。
- 標準的な世帯を表す「40歳代夫婦と10歳代2人」の世帯について、年間収入の違いによる購入単価と購入数量の関連を経年的に検討したところ(図2)、1987年から1999年にかけて、低所得階層で購入数量の顕著な減少がみられる。また、年間収入の多い世帯ほど購入単価が高く、購入数量は少ない傾向が1987年から1996年まで観察される。
- 1997年以降は、特に低所得階層で購入数量の下げ止まり傾向が観察される。一方で購入単価は、高所得階層ほど高単価の米を、低所得階層ほど低単価の米を購入する傾向が、2001年に強まっている(図2)。
- 世帯で購入する米への支出金額と、調理食品の購入金額を比較すると、近年30歳代および40歳代の世帯で調理食品への支出金額が大きく増加している。
成果の活用面・留意点
- 個票データ使用の統計法上の制約により,分析年は一貫していない。
- 家庭内消費に限定した分析結果である。
具体的データ


その他
- 研究課題名:食料消費の地域特性に関する研究
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2001~2002年度
- 研究担当者:石橋喜美子
- 発表論文等:1)石橋(2002)食と生活、食生活情報サービスセンター 7・8合併号6-9.