ヒヨドリの秋から春にかけての採食物の変化とコマツナの食害

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要約

ヒヨドリによるコマツナの食害は木の実が食べつくされる時期から発生し、桜が開花するまで続く。木の実の採食状況のモニタリングにエンジュ、ユズリハ、クロガネモチ、カナメモチ、トウネズミモチ、ネズミモチが適している。

  • キーワード:ヒヨドリ、コマツナ食害、木の実、採食状況モニタリング
  • 担当:中央農研・耕地環境部・鳥獣害研究室
  • 連絡先:電話029-838-8925、電子メールyamay@affrc.go.jp
  • 区分:共通基盤・病害虫
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

ヒヨドリは日本における木の実の主要な消費者であり、種子散布者であることが知られているが、秋季に北日本から関東以南に 南下し、1月から3月に各地で果樹や葉菜類に多大な被害を及ぼしている。渡来してきたヒヨドリはまず木の実を採食し、その後、被害を出すことが多いが、葉 菜における被害の時期や状況はほとんど分かっていない。そこで、ヒヨドリが採食する木の実の樹種、および葉菜食害の開始時期や期間を明らかにすることは、 ヒヨドリの防除策や防除時期を考えるのに有効である。

成果の内容・特徴

  • ヒヨドリは多様な樹種の木の実を採食するが、エンジュ、ユズリハ、クロガネモチ、カナメモチ、トウネズミモチ、ネズミモチは群れによる採食が多い(図1)。このため、木の実の採食状況をモニタリングする樹種として、これら6種は適当である。
  • ヒヨドリによるコマツナの利用可能期間は11月後半から4月半ばであるが、食害の開始時期は、木の実が食べつくされる時期とほぼ一致する。また桜が開花するとヒヨドリはコマツナではなく、桜の花蜜を採食する(図1、2)。

成果の活用面・留意点

  • コマツナはヒヨドリにとって、木の実や桜の花蜜よりも、魅力的な食物でないと考えられるため、コマツナの作付けを木の実が大量にある時期や桜の開花時期に合わせることにより食害を軽減できる。
  • 本調査は茨城県つくば市農林研究団地で行われたものであり、地域、優占樹種の違い、周囲の環境などによりヒヨドリの採食パターンや時期が異なることが考えられる。
  • コマツナへの食害が木の実の消失時期から発生し、桜の開花時期まで続くことは2000年度から2002年度まで3年間確認している。

具体的データ

図1.ヒヨドリが採食した木の実をつける樹種と利用様式

 

図2.木の実、コマツナ、桜で採食しているヒヨドリの個体数

 

その他

  • 研究課題名:ヒヨドリの渡来数予察システムの開発
  • 課題ID:03-05-05-01-01-03
  • 予算区分:鳥獣害プロ
  • 研究期間:2001-2005年度
  • 研究担当者:山口恭弘