飼料イネ収穫作業効率化のためのシミュレーションモデル

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要約

飼料イネ専用収穫機と自走式ベールラッパによる収穫作業を対象とした飼料イネ収穫作業シミュレーションモデルである。圃場内の作業経路、ロールベール生成位置、作業能率等を解析でき、作業効率化のための両機の連携条件を提示できる。

  • キーワード:飼料イネ、収穫、シミュレーション、コンバインベーラ飼料イネ用ロールベーラ、ベールラッパ
  • 担当:中央農研・北陸総合研究部・総合研究第1チーム
  • 連絡先:電話025-526-3218、電子メールkmoto@affrc.go.jp
  • 区分:関東東海北陸農業・作業技術、共通基盤・作業技術、関東東海北陸農業・北陸・総合研究、共通基盤・作業技術、共通基盤・総合研究
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

飼料イネの収穫作業では、牧草専用機の利用に対して地耐力の低い軟弱な水田でも作業ができる飼料イネ専用収穫機(コンバイ ンベーラ飼料イネ用ロールベーラ)と自走式ベールラッパによるダイレクト収穫作業が効果的である。しかし、組作業であるため作業能率は刈取り時の作業経路 とロールベール運搬の分担によって大きく変動する。そこで、両機による収穫作業のシミュレーションモデルを開発し作業の効率化を検討する。

成果の内容・特徴

  • 本シミュレーションモデルは、パソコンで使用する表計算ワークシートとマクロプログラムで構成され、所定の数値を入力することで作業経路シミュレーション及び作業時間シミュレーションが可能である。
  • 作業経路シミュレーションでは、入力値として図1左の入力欄に示す様に圃場の長短辺の長さ、コンバインベーラ飼料イネ用ロールベーラの有効刈取り幅、単位面積収量、ロールベール質量と及び経路設定の値(図1左)を入力すれば、その経路に応じた各ロールベールの生成位置と生成数、必要運搬距離が逐次算出・表示される。本モデルでは刈取り作業に要する距離を各行程ごとに順次積算するため、入力条件設定値を変えた様々な刈取りに柔軟に対応できる。
  • 作業時間シミュレーションでは、コンバインベーラ飼料イネ用ロールベーラ及び自走式ベールラッパの固有作業時間と走行速度等 の基礎データを入力すると、それぞれの作業時間が解析される。また、ロールベールの運搬を両機で分担する際の分担条件に応じた両機の理論作業時間の算出・ 比較が可能である。
  • 例えば、面積1ha(125m×80m)の圃場で外周から回り刈りを行った行う場合、作業経路シミュレーションにより各ロールベールの生成位置は図1右の通りとなる。り、これらを全て圃場進入路側の短辺に運搬するときのに必要な運搬距離は、積算で10,778mと算出される。また、作業時間シミュレーションで実測例に基づいて両機の基礎データを実測例に基づいて入力すると、図2が 得られる。この場合、ロールベール運搬距離に基づくを基に算出した最適分担条件は84mと算出される。すなわち、圃場進入路側短辺から84m、それ以内の 52個は飼料イネ用ロールベーラで梱包・排出後にを自走式ベールラッパで運搬し、それ以遠の30個はをコンバインベーラ飼料イネ用ロールベーラで梱包後に 農道まで運搬して排出すると最も効率的となる。この場合り、全てのロールベールを全て自走式ベールラッパで運搬する慣行条件に対して総作業時間は約33% 短縮される(表1)。

成果の活用面・留意点

  • 本シミュレーションにより、飼料イネ収穫時のコンバインベーラ飼料イネ用ロールベーラと自走式ベールラッパの効率的な連携条件を検討することができる。
  • シミュレーションの実施にはMicrosoft Excel(2000以上)が必要である。
  • 本モデルは矩形圃場における外周からの回り刈り、往復刈り及びその組み合わせに対応できるが、中割りを含む作業方法や圃場の両側にロールベールを搬出できる圃場等については別途検討が必要である。

具体的データ

図1 作業経路シミュレーション

 

図2 作業時間シミュレーション

 

表1 ロールベール運搬条件による作業時間の比較

 

その他

  • 研究課題名:大麦・飼料用イネ2年3作体系の確立
  • 課題ID:03-11-01-02-01-03
  • 予算区分:地域総合
  • 研究期間:2003~2007年度
  • 研究担当者:元林浩太、湯川智行、佐々木良治