ノビエを対象とする水稲用微生物除草剤の効果変動要因
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要約
Drechslera monoceras 製剤はノビエが水面から抽出していなければ、ノビエの種類に関係なく高い除草効果が得られる。また、温度が高くなること及び処理直後のオーバーフローにより、本製剤の除草効果は低下する。
- キーワード:雑草、ノビエ、微生物除草剤、Drechslera monoceras 、除草効果、水深
- 担当:中央農研・耕地環境部・水田雑草研究室
- 連絡先:電話029-838-8953
- 区分:関東東海北陸農業・関東東海・水田畑作物、共通基盤・雑草
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
糸状菌Drechslera monoceras 製剤(試験名:MTB-951)はノビエを対象とした
水稲用微生物除草剤として開発され、化学除草剤に代替する除草剤として普及が図られている。本製剤はノビエの幼植物に付着感染して殺草効果を発揮するが、
そのため、化学除草剤より水管理条件や温度等の環境条件の影響を強く受けることが懸念される。
そこで、ノビエに対する本製剤の除草効果変動要因を明らかにし、本製剤によるノビエの効率的防除法の確立に資する。
成果の内容・特徴
- 本製剤は処理時にノビエが水面から抽出していなければ、ノビエの種類に関係なく90%以上の高い除草効果が得られる(図1)。
- ノビエ1.5葉期では、タイヌビエは他のノビエよりも草丈が高く、水深6~8cmでは水面からの抽出程度が大きくなり、除草効果が低下することがある(表1)。
- 気温が高くなると、ノビエに対する本製剤の除草効果は低くなる(図2)。
- 本製剤処理直後に多量にオーバーフローすると、ノビエに対する除草効果は低くなる。処理後1日以上を経過すれば、オーバーフローしても除草効果は低下しない(図3)。
成果の活用面・留意点
- 本成果は、本製剤によるノビエの効率的防除法を確立する上での参考資料となる。
- 本製剤は水中で効果を発現し、殺草するまでに10日前後かかるため、その期間内はノビエ個体を水中に沈める程度の水深を維持する必要がある。
- 本成果の結果は、20~30℃の温度条件で、かつノビエの発生が極めて斉一な条件での実験である。本製剤は残効期間が短いため、処理後に発生するノビエには効果が低下する可能性がある。
具体的データ
その他
- 研究課題名:水田用微生物除草剤の適用性評価技術の開発
- 課題ID:03-05-03-01-06-03
- 予算区分:環境負荷低減(ISA)
- 研究期間:1999~2003年度
- 研究担当者:川名義明、牛木純、児嶋清、森田弘彦