飼料イネと大麦の2年3作体系における播種・収穫作業計画の支援ツール

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要約

飼料イネと「コシヒカリ」の播種と収穫作業の計画を支援するソフトウエアである。播種・移植日等を入力すると、生育ステージ予測式により収穫期が算出・表示され、作付面積、収穫作業能率、収穫作業開始日を入力すると収穫作業期間等が表示される。

  • キーワード:飼料イネ、クサユタカ、北陸187号、コシヒカリ、収穫、作業計画、作業競合
  • 担当:中央農研・北陸総合研究部・総合研究第1チーム
  • 連絡先:電話025-526-3218、電子メール ryouji@affrc.go.jp
  • 区分:関東東海北陸農業・北陸・総合研究、関東東海北陸農業・北陸・水田畑作物、共通基盤・総合研究
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

飼料イネと大麦の2年3作体系では、食用米等との作業競合を回避することが課題の一つである。そこで、飼料イネと「コシヒ カリ」の生育ステージ予測式を作成し、飼料イネの収穫から大麦播種までの期間に作業競合の生じない作付計画の立案を支援するソフトウエアを開発する。

成果の内容・特徴

  • 飼料イネの出穂期は、日々の最高・最低気温の平年値と出穂期予測式(佐々木ら2000を改変)から精度良く予測できる(図1)。予測式は、
    1)DVI(発育指数)=ΣDVR(発育速度)、(播種時DVI=0、出穂期DVI=1)
    2)DVR={2a+b(Tmax-c)+d(Tmax-c)+b(Tmin-c)+d(Tmin-c)}/2
    (DVR≧0とし、Tmax≧cとTmin≧cの時d=0、Tmax<cとTmin<cの時b=0)
    TmaxとTminはそれぞれ日々の最高・最低気温を、a~gはパラメータ(表1)を示す。飼料イネの出穂期は、苗立密度の高低により約5日の範囲内で変動する。そこで、DVI=1に達した日の播種後日数をnとし、苗立密度xの群落の播種から出穂期までの日数f(x)を2次式により算出する。
    3)f(x)=n(ex^2+fx+g)/100
    飼料イネの収穫期は、予測出穂期からの日々の日平均気温を積算して予測する。
  • 「コシヒカリ」の収穫期は、上記2)式により、穂首分化期DVI=1、出穂期DVI=2、成熟期DVI=3として予測する(パラメータ省略)。
  • 開発したソフトウエアは、播種日と苗立密度を入力すると飼料イネの収穫期が表示され、「コシヒカリ」の収穫期は、移植日を入力することにより表示される(図2、3)。また、品種毎の作付面積と収穫作業能率を入力し、さらに、予測された収穫期を参考にして収穫開始日を入力すると収穫作業期間が表示される(図3)。大麦は、播種作業にともなう全作業の開始日と終了日を任意に入力する。

成果の活用面・留意点

  • 飼料イネと「コシヒカリ」の収穫作業期間ならびに大麦の作業期間が色分けされて表示されるので、作業競合等が容易に確認できる。必要に応じて播種・移植日や作付面積等を変更することにより、播種・収穫作業の計画を効率的に立案することができる。
  • 本システムでは、飼料イネは「クサユタカ」と「北陸187号」を対象とし、栽培法は湛水(散播)直播栽培とする。食用イネは「コシヒカリ」を対象品種とし栽培法は移植栽培とする。
  • 本ソフトウエアでは、出穂期後の積算温度が480℃に達した日を糊熟期、780℃に達した日を黄熟期としている。
  • 本ソフトウエアの使用には、Microsoft Excel2000以上が必要である。

具体的データ

図1 栽培年(1999~2003年)、苗立密度(11~200個体/m2)および施肥条件(5~14gN/m2)を異にした条件下で直播栽培した飼料イネの出穂期の実測値とモデルによる推定値との関係

 

図2 支援システムの処理の流れ

 

表1 クサユタカと北陸187号の出穂期推定式のパラメータ

 

図3 収穫作業期間の確認画面

 

その他

  • 研究課題名:大麦・飼料用イネ2年3作体系の開発、高品質飼料用イネの省力湛水散播直播栽培技術の開発
  • 課題ID:03-11-01-02-01-03、03-11-01-02-03-03
  • 予算区分:地域総合
  • 研究期間:2003~2007年度
  • 研究担当者:佐々木良治、松村修、湯川智行、元林浩太