家畜ふん堆肥による肥料成分供給量と化学肥料施用量の都道府県別試算

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要約

2000年度農業センサス等を用いて家畜ふん堆肥による肥料成分供給量と化学肥料施用量を都道府県単位で推定した。肥料成分供給量を化学肥料施用量で割っ た百分率の都道府県数値は窒素、リン酸及びカリ単位で各14.5~273.1、7.4~137.7、8.4~158.9%の範囲にあり、我が国の平均値は 各41.2、22.4及び27.0%であった。各試算値は地域における家畜ふん堆肥の農地利用の目安となる。

  • キーワード:畜産環境、堆肥、家畜ふん尿、農業センサス、化学肥料
  • 担当:中央農研・関東東海総合研究部・総合研究第5チーム
  • 連絡先:電話029-838-8527、電子メールikumoh@affrc.go.jp
  • 区分:関東東海北陸農業・総合研究、共通基盤・総合研究、畜産草地
  • 分類:行政・参考

背景・ねらい

環境負荷軽減のため、家畜排せつ物の適正管理・利用が要請されている。その一方策として堆肥化利用があり、特に行政的見地から、地域単位で家畜ふん堆肥による肥料成分供給量の試算と農地利用に関する情報提供が求められている。

成果の内容・特徴

  • 家畜ふん堆肥による肥料成分供給量(A)の推定は、家畜排せつ物を全て堆肥化するという前提に立って以下の式で行った。
    A=(家畜排せつ窒素、リン酸、カリ推定量:C)×(堆肥化に伴う窒素、リン酸、カリの推定歩留まり割合:D)
    Cは家畜別窒素、リン酸、カリ排出量原単位(表1)と2000年度農業センサス記載の家畜頭数を用いて計算した。Dについては文献調査等により、窒素、リン酸、カリで各60、90、80%とした。
  • 農地への窒素、リン酸、カリ化学肥料の施用量(B)は以下の式で推定した。
    B=(農作物別化学肥料窒素、リン酸、カリ施肥量:E)×(農作物別栽培面積:F)
    Eは農林水産省統計情報部の農業生産環境報告書(1998)記載のデータ等から51品目について推定し、Fは2000年度農業センサスより求めた。Eの一部を表示した(表2)
  • 家畜ふん堆肥による肥料成分供給量を化学肥料施用量で割った百分率の都道府県数値を便宜上「供給・施用割合」と名付けて、都道府県における最小~最大値と平均値を示した(表3)。窒素、リン酸及びカリ単位で各14.5~273.1、7.4~137.7、8.4~158.9%の範囲にあり、我が国平均値は各41.2、22.4及び27.0%であった。窒素に関する供給量A、施用量B及び「供給・施用割合」を都道府県単位で示した(表4)。

成果の活用面・留意点

  • 各試算値は地域間における家畜ふん堆肥の供給、利用の目安となり、行政分野の参考資料となる。
  • 試算にあたり、情報、データ不足のために多くの推定値を用いており、今後、情報、データの充実により試算値の改善が望まれる。
  • リン酸、カリの都道府県数値の大部分はスペース不足のため記載を割愛した。また都道府県の市町村別の数値も試算しているが、データ量が厖大なため記載しなかった。

具体的データ

表1 家畜排せつ窒素、リン酸、カリの家畜別原単位(g/頭羽/日)

 

表2 化学肥料の作物別施肥量

 

表3 供給・施用割合の都道府県最大、最小             値と我が国の平均値

 

表4 家畜ふん堆肥による窒素供給量、化学肥料窒素施用量及び両者の割合

 

その他

  • 研究課題名:関東東海地域における未利用有機資源の発生量および利用に関する実態解析
  • 課題ID:03-01-07-01-02-04
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:完2001~2003年度
  • 研究担当者:生雲 晴久、山口 武則、森江 昌史
  • 発表論文等:生雲、農業技術、58(10)、37~42、2003