少量精麦による高精麦白度大麦系統の個体選抜法

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要約

少量精麦による極少量搗精粒(20粒程度)を材料とし、色彩色差計で測定した色相からハンター白度を求めることで、高精麦白度大麦系統の個体選抜が可能である。

  • キーワード:オオムギ、精麦白度、極少量搗精粒、色彩色差計、ハンター白度、個体選抜
  • 担当:中央農研・北陸水田利用部・畑作物育種研究室
  • 連絡先:電話025-526-3246、電子メールhonduras@affrc.go.jp
  • 区分:関東東海北陸農業・北陸・水田畑作物
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

精麦用大麦の高品質安定生産と消費拡大を図るために、より精麦白度の高い高品質大麦品種の育成が求められている。通常、精 麦白度は、試験用搗精機により55%に搗精した材料を光電管白度計で白度を測定することで評価される。しかし、この方法では、標準で180g、最低でも 50gの大麦整粒を必要とするため、初期世代における個体レベルでの評価は困難である。そのため、精麦白度については中後期世代で選抜せざるを得ないた め、育種効率が劣っている。そこで、少量搗精粒を用いた白度の評価法を検討し、より早い世代から精麦白度を評価できる個体選抜法を確立する。

成果の内容・特徴

  • 少量精麦は、大麦整粒10gを小型搗精機で55%搗精した。
  • 少量精麦による搗精粒(20粒程度)を内径1cmの容器に充填し、色彩色差計で測定(3反復)したL*、a*、b*から求めたハンター白度と精麦白度との間には高い正の相関が認められる(図1)。
  • 少量精麦による個体世代(F4)の搗精粒(20粒程度)のハンター白度と次世代(F5)の精麦白度との間に高い正の相関が認められること(図2)から、少量精麦により次世代の精麦白度の高低を評価することができ、高精麦白度系統の個体選抜が可能である。
  • 交配組合せが異なっても少量精麦による個体世代のハンター白度を基準として、次世代の精麦白度の高低の評価が可能である(表1)。

成果の活用面・留意点

  • 初期世代における高白度系統の個体選抜に利用できる。
  • 搗精には大麦整粒(粒厚2.2mm以上)を用い、搗精歩留は55%とした。
  • 試験には、小型搗精機(K社 パーレスト)、試験用搗精機(S社 GRAIN TESTING MILL TM05)、色彩色差計(M社 CM-3500d)、光電管白度計(K社 C-3型)を用いた。
  • 色彩色差計による搗精粒の色相測定は、光源D65、視野10 ゚、測定径8mmとした。

具体的データ

図1 ハンター白度と精麦白度との関係

 

図2 ハンター白度と精麦白度の世代間相関

 

表1 個体世代(8交配組合せ53系統)で評価した場合の次世代の精麦白度

 

その他

  • 研究課題名:多雪地向け高精麦白度大麦の早期選抜
  • 課題ID:03-11-08-01-01-03
  • 予算区分:21世紀プロ、交付金
  • 研究期間:2001~2003年度
  • 研究担当者:馬場孝秀、伊藤誠治、中村恵美子、林敬子