全大陸20,000カ所以上の気象観測点からのデータを提供するMetBrokerEJB

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要約

気象データ仲介ソフトウエアMetBrokerを大幅に改良し多数の気象観測点に対しても安定運用可能である。その結果、全大陸20,000カ所以上の気象観測データをMetBrokerから利用できる。

  • キーワード:世界気象機関データ、地上気象観測原簿、全大陸、気象データ仮想統合
  • 担当:中央農研・農業情報研究部・グリッドコンピューティングチーム
  • 連絡先:電話029-838-7026、電子メールsnino@affrc.go.jp
  • 区分:共通基盤・情報研究
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

利用方法やフォーマットなどが異なるさまざまの気象データベースを仮想的に巨大なデータベースのように見せかける気象データ仲介ソフトMetBroker(平成11年成果情報参照)は、その利便性から利用するクライアントプログラムが着実に増えている。しかし、気象データベースの登録方法や同時にアクセスできる気象観測点数などに制約があり安定運用に支障がある。そこで、既存のMetBrokerが持つ諸問題を解決するとともに、より大規模な気象データベースにも対応し、利用可能気象観測点の内外における広がりもはかる。

成果の内容・特徴

  • MetBrokerの設計をEJB(Enterprise Java Beans)という最新のプログラム技術を用いて大幅に見直した。その結果、ひとつのプログラムの中で順番に動作していた気象データベースの所在データベース機能、個々の気象データベースの違いを吸収するドライバ機能、クライアントプログラムとデータをやりとりするインタフェース機能のそれぞれが相互に連携しながら高速・安定に平行動作する。改良版をMetBrokerEJBと命名した。
  • 多数の気象データベースへの同時アクセスにも安定的に動作する。また、新しい気象データベースの追加や修正時にもMetBrokerを停止する必要が無く、頻繁に更新する多数のデータベースにも容易に対応可能であるなど運用管理が容易である。
  • 世界気象機関気象データファイル(図1)や日本国内気象官署データ(地上気象観測原簿)用のドライバの追加により、MetBroker経由で提供される全気象観測点数は2.5倍に増加し計約20,000点以上ある(表1)。これらの観測点データは、データとして獲得できるだけでなく、生育予測プログラムや気象リスク表示プログラム(図2)など、全ての既存のMetBroker対応プログラムに取り込んで利用できる。

成果の活用面・留意点

  • 世界気象機関気象データについては、国によって2週間から2ヶ月程度、日本国内気象官署データについては3ヶ月程度遅れでデータが更新される。
  • MetBrokerEJBによって仲介されるデータを用いた商用サービスには、主にもとの気象データベース利用規定に基づく制約がある。
  • http://www.agmodel.org/以下にMetBrokerEJB対応の全気象観測点からデータを利用できるサンプルプログラムが用意されている。

具体的データ

図1 . MetBroker が対応する世界気象機関提供デ ータに含まれる気象観測点の位置。 図2 .MetBroker 利用クライアントプログラムの例. 最低気温確率などの気象リスクを円グラフで表示。

 

表1. MetBroker 対応気象データベースのリスト

その他

  • 研究課題名:環境調和型農業生産のための高度情報技術(IT)に関する研究
  • 課題ID:03-04-04-01-13-04
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2004~2006年度
  • 研究担当者:二宮正士、木浦卓治、孟 紅岩、山川 敦、王 健貴
  • 発表論文等:Larurenson et al.(2004)Proc.AFITA/WCCA2004:433-438.