エライザ法によるインパチエンスネクロティックスポットウイルスの検出
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要約
インパチエンスネクロティックスポットウイルス(INSV)の抗体は、二重抗体サンドイッチエライザ法等血清学的手法によって感染植物粗汁液中の本ウイルスを高感度に検出できる。また、INSVを保毒した1頭の媒介昆虫アザミウマからもウイルスを検出できる。
- キーワード:インパチエンスネクロティックスポットウイルス、アザミウマ、シクラメン、雑草
- 担当:中央農研・病害防除部・ウイルス病害研究室
- 連絡先:電話029-838-8100、電子メールshinyat@affrc.go.jp
- 区分:関東東海北陸農業・関東東海・病害虫(病害)、共通基盤・病害虫(病害)
- 分類:技術・普及
背景・ねらい
インパチェンスネクロティックスポットウイルス(INSV)は、我が国では1998年静岡県のバーベナで初めて発生が認められたウイルスで、海外から導入された花き類によって侵入したと考えられる。INSVは、Bunyaviridae 科トスポウイルス属に分類される。本ウイルスは、同属のトマト黄化えそウイルス(TSWV)とは血清型、生化学的特徴、遺伝情報が明らかに異なる。そのため本ウイルスの寄生範囲、我が国における発生様相などの特性については全く不明であり、本病の防除技術も未だ確立されていない。そこで、本ウイルスの媒介昆虫アザミウマ並びに感染植物を検出するための血清診断法を開発する。
成果の内容・特徴
- INSVのヌクレオキャプシドを抗原として作製した抗体は、二重抗体サンドイッチエライザ(DAS-ELISA)法によりINSV感染Nicotiana benthamiana の1万倍希釈粗汁液まで明瞭に反応する(図1)。
- 罹病植物と健全植物の粗汁液をDAS-ELISA法で比較し、両者の吸光値(A405)の差が0.1以上を陽性と判断する。
- 本DAS-ELISA法は、TSWVなど他種トスポウイルスに反応しない(図1)。
- DAS-ELISA法は、INSVを人為的に獲得させた全生育ステージのアザミウマ1頭からウイルスを検出できる(図2)。
- 2004年5~10月にかけて行った、INSVが慢性的に発病する山梨県シクラメン栽培ハウス内外の雑草を対象としたウイルス保毒調査で、国際的に未報告を含む8種のINSV感染雑草が検出された(表1)。しかし、それら感染雑草は全て無病徴であった。
成果の活用面・留意点
- 本DAS-ELISA法は、INSVの発生実態調査などへの利用に期待できる。
- INSV血清診断用DAS-ELISAキットは、日本植物防疫協会から販売されている。
具体的データ


その他
- 研究課題名:花き類のインパチエンスネクロティックスポットウイルスの防除に関する研究
- 課題ID:03-07-04-01-03-04
- 予算区分:侵入病害虫プロ
- 研究期間:2002~2004年度
- 研究担当者:津田新哉、河野敏郎(日植防研)、佐幸歌菜(山梨県防除所)、櫻井民人(東北農研)、
奥田 充(九州農研)、大村敏博