レタスセル成型苗の表面被覆と根域冷却による地上部のコンパクト化
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要約
レタスセル成型苗の高温期の底面給水育苗において、白色不織布等による表面被覆処理と低温水による根域冷却を単独または併用して行うことにより、根鉢形成を良くし、地上部をコンパクトにすることができる。
- キーワード:レタス、セル成型苗、根域冷却、表面被覆、底面給水、高温期育苗
- 担当:中央農研・作業技術研究部・施設利用研究室
- 連絡先:電話029-838-8815、電子メールtama@affrc.go.jp
- 区分:共通基盤・作業技術、関東東海北陸農業・作業技術、関東東海北陸農業・野菜
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
野菜用全自動移植機の定植精度向上には、根鉢形成が十分で地上部がコンパクトなセル成型苗の利用が有効である。レタスの高温期育苗では、生育期間が短く根鉢形成が不十分になりやすく、発芽・苗立ち不良と過度の遮光処理による徒長の問題がある。また、生育が進むと過繁茂状態になり、頭上かん水ではムラが生じやすい。
そこで、均一にかん水できる底面給水(エブ&フロー方式)に低温水を使用した根域冷却と、白色不織布等でセルトレイ表面を被覆することによる高温期の高品質育苗技術を開発する。
成果の内容・特徴
- 底面給水育苗は、図1のようなタイマで制御されたポンプで給水し、深さ2~3cmでプール状に貯水した後排水できる育苗ベンチで行える。市販のプールベンチを使用してもよい。排水は貯水タンクに回収し再び給水に利用する循環式である。
- レタス苗の生育は、底面給水では頭上かん水に比べ地上部が大きくなる傾向を示すが、根鉢の形成は良い。白色不織布の表面被覆により、生育の遅延を生じさせずに地上部がコンパクトになり、根鉢形成は維持される(表1、図2)。
- 被覆する白色不織布は、出芽の障害にならないよう幅約5mmのスリット加工を行う(図2)。
- 水温を特に調整しないと給水しても日中のセル培地温が30℃を超えた状態であるのに対し、水温約10℃の低温水により培地温は25℃未満に下げることができる。
- 低温水を使用した根域冷却により、平均培地温は約3℃低くなるが生育の遅れは認められず、地上部をコンパクトにすることができる。表面被覆処理を併用するとより効果的である(表2)。
成果の活用面・留意点
- 一連の育苗には全自動移植機用200穴セルトレイを使用し、6~9月の高温期のレタス等のセル成型苗育苗に適用できる。
- 根域冷却の給水温度は10℃程度になるよう調節する。
- 頭上かん水でも低温水のかん水による地上部のコンパクト化は可能であるが、簡易な装置によるかん水の省力化を図るには底面給水が適している。
具体的データ



その他
- 研究課題名:育苗ハウスにおける簡易温度環境調節技術の開発
- 課題ID:03-10-02-02-09-04
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2002~2005年度
- 研究担当者:長崎裕司、玉城勝彦、金井源太、本部篤史(宮崎県総農試畑作園芸支場)