殺虫剤エチルチオメトンの播種時処理は除草剤ベンタゾンによるダイズの薬害を激化させる
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要約
殺虫剤エチルチオメトンをダイズ播種時に処理し、生育期に除草剤ベンタゾンを茎葉処理すると、両剤の処理間隔が1ヶ月程度あっても激しい薬害を招く。イミダクロプリド等の非有機リン系殺虫剤とベンタゾンとの組み合わせでは、同様な薬害は発生しない。
- キーワード:ダイズ、殺虫剤エチルチオメトン、除草剤ベンタゾン、薬害
- 担当:中央農研・関東東海総合研究部・東海大豆研究チーム
- 連絡先:電話059-268-4610、電子メールnarc-seika@naro.affrc.go.jp
- 区分:関東東海北陸農業・関東東海・総合研究、関東東海北陸農業・関東東海・水田畑作物、共通基盤・総合研究
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
エチルチオメトンはアブラムシ、ハダニ類に有効な有機リン系殺虫剤である。一方、ベンタゾンは、広葉雑草対象の生育期茎葉処理除草剤としてダイズを適用作物とした農薬登録申請が予定されており、両薬剤の組み合わせは今後大豆畑での一般的に行われることが予想される。しかし、ベンタゾンと有機リン系殺虫剤との近接散布によるダイズでの相乗的な薬害が報告されていることから、エチルチオメトンとベンタゾンとの組み合わせ処理がダイズに及ぼす影響を検討する。
成果の内容・特徴
- ダイズ播種時にエチルチオエメトンを処理し、生育期にベンタゾンの茎葉処理を行うと、葉の褐変症状の激化や生重の低下等、各々の薬剤の単独処理に比べ激しい薬害を生じる(図1)。
- ベンタゾン感受性が高いダイズ品種のタチユタカでは感受性の低いフクユタカに比べ、低い薬量のエチルチオメトン処理でベンタゾン処理後に激しい薬害が発生する(図2)。
- 圃場条件(黒ボク土)において、エチルチオメトンとベンタゾンの処理間隔を一ヶ月あけても、褐変症状の激化や生重の有意な低下が見られる(図3)。
- 非有機リン系殺虫剤イミダクロプリドやチアメトキサム35%(種子塗沫処理)とベンタゾンの組み合わせでは、このような薬害の激化は見られない(図1、図3)。
成果の活用面・留意点
- ベンタゾンはダイズを適用作物とした農薬登録申請が予定されている。
- 子実収量への薬害の影響は、栽培条件(品種、栽培地、播種期等)により大きく異なる可能性がある。
具体的データ



その他
- 研究課題名:大豆生産の大規模化に対応した新たな雑草防除技術の開発
- 課題ID:03-01-01-01-24-04
- 予算区分:ブラニチ2系
- 研究期間:2003~2004年度
- 研究担当者:松尾和之、渡辺輝夫、増田欣也