消毒液自動噴霧ハサミを用いたピーマンモザイク病の接触伝染防止
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要約
トウガラシマイルドモットルウイルス罹病ピーマンの葉柄切断や葉面への切り込み時に、シイタケ菌糸体抽出物液剤やスキムミルク水溶液で消毒液自動噴霧ハサミの刃を洗浄すると、隣接する健全ピーマン株へのPMMoVの接触伝染が防止される。
- キーワード:ピーマン、ピーマンモザイク病、トウガラシマイルドモットルウイルス、消毒液自動噴霧ハサミ、接触伝染
- 担当:中央農研・病害防除部・病害防除システム研究室
- 連絡先:電話029-838-8885、電子メールnarc-seika@naro.affrc.go.jp
- 区分:共通基盤・病害虫(病害)、関東東海北陸農業・関東東海・病害虫(病害)
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
難防除ウイルスであるトウガラシマイルドモットルウイルス(Pepper mild mottle virus =PMMoV)によって引き起こされるピーマンモザイク病は、種子伝染や土壌伝染に由来する罹病株が伝染源となり、その後の栽培管理作業によるピーマンへの接触により健全ピーマン株にウイルスが次々に感染し、圃場全体に蔓延化する。そこで、消毒液自動噴霧ハサミを利用してピーマンモザイク病の栽培管理作業時における接触伝染防止効果を検討する。
成果の内容・特徴
- 消毒液自動噴霧ハサミは、ピーマン切断後ハサミを開いた時ポンプ噴霧圧により消毒液が刃に自動噴霧され、洗浄する機構となっている(図1)。
- 蒸留水を除くいずれの消毒液も消毒液自動噴霧ハサミによる洗浄により、ハサミによるピーマン葉柄切断または葉面切り込み時のPMMoVの「接触伝染が防止または軽減される(表1)。
- ハサミによるピーマン葉面切り込みにより、カルシウムハイポクロライド水溶液と蒸留水洗浄区の発病株率は約10%、無処理区は70~100%発病するが、シイタケ菌糸体抽出物液剤、スキムミルク水溶液、第三リン酸ソーダ水溶液の手動浸漬洗浄及び自動噴霧洗浄ともにモザイク病の発病はみられない(表2)。
- 消毒液のうち、シイタケ菌糸体抽出物液剤とスキムミルク水溶液は薬害もなく、消毒液として有効である(表2)。これら消毒液で消毒液自動噴霧ハサミの刃を洗浄することにより、ピーマン栽培管理作業時のPMMoVの接触伝染を防止できる。
成果の活用面・留意点
- 本試験で使用した消毒液自動噴霧ハサミは既に市販されている。
- 今後、消毒液の種類を検討することにより、PMMoV以外の接触伝染性ウイルスや細菌病との同時防除が期待できる。
- 第三リン酸ソーダ及びカルシウムハイポクロライド水溶液は、ハサミ洗浄時にこぼれた液が葉にかかると黄白斑を生じる場合があるため注意する。
具体的データ



その他
- 研究課題名:トウガラシマイルドモットルウイルスのピーマン地上部の接触伝染防止技術の開発
- 課題ID:03-07-05-*-06-04
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2004年度
- 研究担当者:本田要八郎、大木健広、久下一彦(京都農総研)、細川 健(岩手病害虫防除所)