飼料イネの収穫作業における圃場内損失

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要約

フレールモア型の専用収穫機を用いて飼料イネの収穫作業を行う場合、残存刈り株を含む損失率は出穂期の35%から徐々に低下し、糊熟期以降は20~25%程度となる。頭部損失には籾が著しく多く含まれ、その比率は生育ステージと共に増加する。

  • キーワード:飼料イネ、収穫、圃場内損失、飼料イネ用ロールベーラ
  • 担当:中央農研・北陸総合研究部・総合研究第1チーム
  • 連絡先:電話025-526-3218、電子メールkmoto@affrc.go.jp
  • 区分:関東東海北陸農業・北陸・総合研究、関東東海北陸農業・作業技術、共通基盤・総合研究、共通基盤・作業技術
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

フレールモア型の飼料イネ専用収穫機は、刈り取り部で稲体を細断しながら収穫して梱包するため発酵品質に優れる利点もあるが、収穫時の圃場内損失も多いとされている。特に、地際刈りによる坪刈り収量と機械刈りの実収量(全刈り収量)の間には大きな差があり、その実態の解明が求められている。そこで圃場内損失の実態を把握するためにその構成比率を調査するとともに、収穫ステージごとの損失率、頭部損失の構成、残存刈り株量について検討する。

成果の内容・特徴

  • フレールモア型専用収穫機により黄熟期に飼料イネを収穫する際の圃場内損失は、地上部総量の25~38%程度になる。損失の構成要素を比較すると、刈取り部からの頭部損失(17%)、圃場内の残存刈り株としての損失(7%)、収穫機からの排出時損失(3%)が多い(表1)。枯葉等で構成される風塵損失とベールラッパで作業を行う際の密封時損失は、全体に占める割合が低い。
  • 頭部損失は糊熟期にかけて増大し、その後はやや減少する(図1)。頭部損失に占める籾部の割合は、出穂期の28%から徐々に増大して黄熟期には76%になり、茎葉部に対して籾部は著しく多い。
  • 作物体の地上部総量は生育ステージが進むにつれて増大し、糊熟期以降は緩やかな増加となる(図2)。収穫機による実収量も同様に増加する。地上部総量に対する実収量の割合(収穫率)は出穂期で約65%(損失率35%)となり、糊熟期以降は80%(損失率20%)程度となる。
  • 刈り高さによる損失は収穫ステージによって異なり、出穂期に最も高く、糊熟期及び黄熟期には半減する。刈り高さ10cmの場合、損失率は出穂期で17%、黄熟期で7%程度となる(図3)。

成果の活用面・留意点

  • フレール型専用収穫機を用いて様々な時期に収穫作業を行う際に、坪刈り収量と実際の実収量を直接比較する上での参考資料となり、適切な改善策を講じる上での基礎資料となる。
  • 収穫機のベール成形部での詰まりが生じる場合がある。この時は成形ローラ外部パネルを1枚取り外すことで作業可能となるが、その空隙から走行時漏出が発生する。走行時漏出による損失量は、地上部総量に対して最大で7~8%程度となる。

具体的データ

表1 圃場内損失の構成

 

図1 頭部損失の内訳 図2 地上部総量と実収量

 

図3 残存刈り株による損失

その他

  • 研究課題名:大麦・飼料用イネ2年3作体系の確立
  • 課題ID:03-11-01-02-17-04
  • 予算区分:地域総合(北陸大麦飼料用稲輪作)
  • 研究期間:2003~2007年度
  • 研究担当者:元林浩太、湯川智行、佐々木良治、米村 健、髙畑良雄