インターネットのない現場でフィールドサーバのデータを自動収集
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要約
小型環境計測装置「フィールドサーバ」の運用はインターネット常時接続が前提であった。「エージェントボックス」は複数のフィール
ドサーバのデータを現場で自動的に収集・蓄積しブラウザでデータを閲覧できる小型装置であり、インターネットに接続できない場所でもフィールドサーバを簡単に利用することができる。
- キーワード:フィールドサーバ、エージェント、自律動作、Java、インターネット
- 担当:中央農研・農業情報研究部・モデル開発チーム
- 連絡先:電話029-838-7177、電子メールfserver@zoushoku.narc.affrc.go.jp
- 区分:共通基盤・情報研究
- 分類:技術・普及
背景・ねらい
フィールドサーバは無線LAN及びインターネット経由で現場をモニタリングする小型環境計測装置である。インターネット常時接続環
境下で利用する場合、運用に必要なデータ収集、遠隔制御、データ閲覧などは農林水産計算センター(電農館)及び中央農研のサービスを利用でき、現場では
フィールドサーバを設置するだけで運用できる。しかし、ネットワークのセキュリティ管理が厳しい場所やインターネット常時接続ができない場合、これらの
サービスを利用できない。多数のフィールドサーバのデータ収集・制御・データベース化を行うエージェントプログラム及びデータ閲覧プログラムを1台の小型
装置に格納した「エージェントボックス」を開発することで、インターネットに接続できない場所での利用を希望する農家や研究者といったユーザにも簡単に
フィールドサーバを運用できるようにする。
成果の内容・特徴
- エージェントボックスはJava(ver.1.4以上)やWebサーバ(Apacheなど)が稼動するコンピュータにローカルで実行可能なソフト(管理プログラム、閲覧プログラムなど)を組み込んだものである(表1)。MicroPC(ハイテックシステム)にVine
Linuxをインストールしたものをエージェントボックスの標準機とし、これを精選・評価して構築したことでハード及びソフトなどの相性問題を回避し、安定運用できる(図1)。
- 現場に1台設置するだけで、インターネット接続できない場合でも多数のフィールドサーバの制御やデータの収集・蓄積を行うことができる(図2)。ネットワークインフラが未整備の圃場や中国(JICA)、シリア(JIRCAS,
ICARDA)などで利用されている。
- エージェントボックスに収集されたデータはInternet
Explore などのWebブラウザによって、簡単にデータをグラフ表示やアニメーション表示で見ることができる(図3)。
- 回線が不安定な場所や常時接続できない環境で利用した場合には、接続が確立した時にFTPなどでまとめてデータの回収が可能であり、インターネットが整備された環境下であれば、中央農研のデータ収集システムに接続するゲートウェイとして利用可能である。
成果の活用面・留意点
- エージェントボックスの利用を希望する場合は担当者に連絡を取り、所定の手続きをすることでパッケージを入手できる。
- エージェントボックスの構築には、Linux等の知識が必要であるが、利用する際には専門的知識は不要である。そこで、必要なソフトをプリインストールしたエージェントボックスをメーカー経由で供給できるよう準備中である。
- データの蓄積量は内蔵するハードディスクやデータの収集頻度に依存するが、目安としては標準型フィールドサーバ1台あたり約1GB/月である。またエージェントボックス1台でフィールドサーバ8台程度のデータ収集が可能である。
- エージェントボックスは不要になった旧PCや市販の安価な簡易PC(玄箱:2万円∼)で自作可能である。ただし相性等の問題が出る可能性があり、その場合は自己対応となる。
具体的データ




その他
- 研究課題名:フィールドサーバによる長期運用技術の開発
- 課題ID:03-04-03-01-09-05
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2004∼2005年度
- 研究担当者:深津時広、木浦卓治、田中慶、平藤雅之
- 発表論文等:
1) T.Fukatsu, M.Hirafuji (2005) Journal of Robotics and
2) http://model.job.affrc.go.jp/FieldServer/