浅耕栽培はダイズシストセンチュウの卵密度を抑える
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要約
浅耕でダイズを連作した時のダイズシストセンチュウの卵密度は、ロータリ耕に比べ低く推移し、それは地表面下5∼15cmの卵密度が影響している。浅耕により、非宿主作物栽培時の卵密度低下はより早く現れる。対抗植物と組み合わせることで効果的な密度抑制が可能である。
- キーワード:ダイズ、ダイズシストセンチュウ、浅耕、密度抑制
- 担当:中央農研・耕地環境部・作付体系研究室
- 連絡先:電話029-838-8532、電子メールjtazawa@affrc.go.jp
- 区分:共通基盤・総合研究、病害虫(虫害)
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
ダイズを連作することによりダイズシストセンチュウの被害が顕在化するが、有効な対処法がなく、連作している水田転換畑では大きな
問題となりつつある。ダイズシストセンチュウ密度の制御や被害の軽減のための土壌管理等による耕種的手法の確立が要請されている。そこで、表層5cm程度
耕起する浅耕と慣行ロータリ耕(15cm程度耕起)のダイズ連作に伴うダイズシストセンチュウの卵密度の推移を調査し、浅耕の卵密度に対する効果を検証す
る。
成果の内容・特徴
- ダイズ(品種:エンレイ)を浅耕で連作した場合、ダイズシストセンチュウの卵密度はロータリ耕に比べて低く推移し、その効果は2年程度持続する(図1A)。その際、表層(0∼5cm)の卵密度は、両耕起法間で変わらないが、地表面下5∼15cmの密度が浅耕で低いことから、浅耕による卵密度抑制には耕起されていない土層の卵密度が影響している(図2)。
- 天敵微生物のシストへの寄生率は、連作に伴い上昇するが、浅耕ではやや高い傾向にある(図1B)。
- 非宿主作物(トウモロコシ)を浅耕で連作した場合、卵密度はロータリ耕よりも早く低下する(図3)。乾土1gあたり100卵程度(高密度)に増加した畑では、非宿主作物を浅耕で2作することで卵密度は被害が出る可能性のある密度(乾土1gあたり10卵)より低くなる。
- ダイズの浅耕栽培と対抗植物のクロタラリア(Crotalaria
spectabilis )を組み合わせることにより、卵密度をより効果的に低下させることができる(図4)。乾土1gあたり200卵程度の非常に高い密度の畑でも浅耕によるダイズ2作およびクロタラリア1作で卵密度は極めて低密度になる。
成果の活用面・留意点
- ダイズシストセンチュウ汚染圃場での密度抑制に活用できる。
- 本試験はダイズを4年連作しダイズシストセンチュウ卵密度が高密度に高まった畑圃場(淡色黒ぼく土)を用いて、ダイズーコムギ体系(浅耕区ではコムギも浅耕栽培)で行った試験である。
具体的データ




その他
- 研究課題名:大豆-小麦体系におけるシストセンチュウ及び土壌病害の耕種的防除法の開発
- 課題ID:03-05-01-02-09-05
- 予算区分:ブランドニッポン(2系)
- 研究期間:2002∼2005年度
- 研究担当者:田澤純子、山本泰由、臼木一英、三浦重典