イネいもち病菌における非病原性遺伝子Avr-Hattan3の連鎖地図

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要約

イネ品種「八反3号」の真性抵抗性遺伝子PiHattan3 に対するいもち病菌の非病原性遺伝子Avr-Hattan3 と連鎖する14個の分子マーカーを見出した。これらのうち6個は密接(0-2.2cM)に連鎖する。

  • キーワード:イネ、いもち病菌、非病原性遺伝子、真性抵抗性遺伝子、分子マーカー
  • 担当:中央農研・病害防除部・糸状菌病害研究室
  • 連絡先:電話029-838-8940、電子メールyasuda@affrc.go.jp
  • 区分:共通基盤・病害虫(病害)
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

いもち病菌は、イネ品種の真性抵抗性遺伝子に対する非病原性遺伝子を変異させ、病原性を獲得する。非病原性遺伝子の機能は不明であるが、日本産いもち病菌のほとんどは真性抵抗性遺伝子PiHattan3 をもつイネ品種「八反3号」に感染できるため、日本産いもち病菌では、Avr-Hattan3 の変異が菌の病原力や増殖能に影響していないと考えられる。
そこで、非病原性遺伝子の機能と病原性獲得との関係解明による品種抵抗性の安定利用に資するため、Avr-Hattan3 を有する中国産菌株およびその交配後代株を用いて遺伝子単離に向けた分子連鎖地図を作成する。

成果の内容・特徴

  • イネ品種「八反3号」の真性抵抗性遺伝子PiHattan3 に対するいもち病菌の非病原性遺伝子Avr-Hattan3 は分子マーカー14個とLOD値(対数尤度比、MAPMAKER2.0)3.0以上で連鎖する(図1)。
  • これらのうち6個の分子マーカーはAvr-Hattan3 と密接(0-2.2cM)に連鎖している(図1、下線)。

成果の活用面・留意点

  • 密接に連鎖した分子マーカーは、イネいもち病菌の非病原性遺伝子Avr-Hattan3 近傍の物理地図の作成、非病原性遺伝子の単離に利用できる。
  • イネいもち病菌では、分子連鎖地図上の1cMは平均すると約50kbである。

具体的データ

図1 イネいもち病菌の非病原性遺伝子Avr-Hattan3の連鎖地図

 

その他

  • 研究課題名:イネいもち病菌の非病原性遺伝子の単離とその塩基配列の解読
  • 課題ID:03-07-01-*-05-04
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2002∼2004年度
  • 研究担当者:安田伸子、野口(辻本)雅子、宮坂 篤、今﨑伊織、川上 顕、小泉信三
  • 発表論文等:Yasuda et al.(2005)Phytopathology 95:768-772.