水稲の荷受け時篩い分けによる細粒玄米の除去

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要約

荷受け時の籾の粒厚分布と乾燥・籾すり後の玄米の粒厚分布は、0.3∼0.4mm程度の差を持った相似であり、荷受け段階で、2.2∼2.3mmで篩うことにより、通常、籾すり後に1.8mmで除去される細粒玄米を粗選別して、水分ムラを小さくできる。

  • キーワード:水稲、籾、玄米、粒厚、水分
  • 担当:中央農研・作業技術研究部・施設利用研究室
  • 連絡先:電話029-838-8815、電子メールtama@affrc.go.jp
  • 区分:関東東海北陸農業・作業技術、共通基盤・作業技術
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

一般に、穀物の立毛中の乾燥過程での水分分布は、高水分域にピークを持つ状態から、低水分域にもピークを持つ二極化を経て、低水分 域にピークのある状態へ推移する。また、高水分で収穫された穀物ほどその水分の分布幅が広いことが知られており、水分のムラは大きい。高品質な米を生産す るためには、これら収穫時の籾水分ムラを減少させる乾燥調製技術の開発に取り組む必要がある。

成果の内容・特徴

  • 刈取り時の籾を縦目篩により粒厚選別を行うと、その水分分布は、粒厚の小さい方が平均水分が高く、刈り取り時期が遅くなるにつれて、全体の水分が低くなり、篩目階級間の水分差(階級間での最大水分と最小水分の差)は小さくなる(図1、図2)。
    コンバイン収穫後の荷受け時の籾の粒厚分布は、乾燥・籾摺り後の玄米の粒度分布とほぼ相似であり、篩目換算で0.3∼0.4mm平行移動した分布に近い形である(図3)。
    通常、乾燥・籾すり後に1.8mmで篩われ除去される高タンパクの細粒玄米を、乾燥前の籾の段階で2.2∼2.3mmの適切な篩目を選んで篩うことにより、粒厚1.8mm以上の整粒除去率を3%以下で、50∼80%の細粒玄米を除去できる。また、荷受け時に5.0∼9.2%あった篩目間での最大水分差を、0.8∼7.6%まで減少できる(表1)。

成果の活用面・留意点

  • 乾燥後の選別効率の向上、並びに、乾燥エネルギーの削減に資するための乾燥調製の前処理として有効である。
  • 荷受けで滞留しない能力の選別方法、並びに、選別後に出る2.2mm未満の籾の安価な乾燥方法については別途検討が必要である。
  • 通常は2.2mmで篩えば良いが、品種、年次間差については別途検討する必要がある。

具体的データ

図1 籾の篩目階級毎の水分変化

 

篩目階級間の最大水分差

図3 乾燥、籾すり前後の粒厚分布の例

表1 荷受け時の篩いによる細粒玄米除去効果

 

その他

  • 研究課題名:水稲収穫時の品質分布に関する研究
  • 課題ID:03-10-03-01-04-05
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2003∼2005年度
  • 研究担当者:玉城勝彦、金井源太、長崎裕司(農水省)