新型作業姿勢モニタを活用したOWAS法評価支援システム

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要約

本システムは、新型作業姿勢モニタ、ねじりセンサ、データ解析ソフトから構成され、作業者に装着した身体各部の傾斜角、体幹部のねじれ角をロガーに記録すると供に、姿勢のスティックピクチャ表示、OWAS法による姿勢評価を自動的に行うことができる。

  • キーワード:OWAS法、作業姿勢評価
  • 担当:中央農研・作業技術研究部・作業労働システム研究室
  • 連絡先:電話029-838-8904、電子メールkkyo@affrc.go.jp
  • 区分:関東東海北陸農業・作業技術、共通基盤・作業技術
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

農作業姿勢の計測装置「作業姿勢モニタ」(平成5年度総合農業研究成果情報:旧農研センター)が開発され姿勢の計測や評価に活用されているが、センサの軽量化、測定角度範囲の拡大、ねじり姿勢の計測、他分野で姿勢評価に用いられているOWAS法へのデータリンク等の要望が出されている。そこで、センサの小型化、体幹部のねじり計測や、OWAS法による姿勢評価も効率的に行うことのできるようシステムを改良する。

成果の内容・特徴

  • 本システムは、新型作業姿勢モニタ、ねじりセンサ、姿勢解析評価ソフトから構成されている。
  • 新型作業姿勢モニタ(図1)は、9chの傾斜角度データの他、1chの心拍数(10秒毎の心拍数、または心拍間隔時間(R-R))、ねじりセンサなど2chの汎用アナログ入力を持ち、記録間隔は0.5、1、2秒、記録データ数は1ch当り30,000データである。
  • 身体各部の傾斜角を測定するセンサは単体の質量が60%以上軽量化され、また、測定範囲を拡大(±70°→±130°)するためにセンサを2個組み合わせた場合でも旧型に比べ軽量である。
  • 体幹部のねじり計測は、ねじりセンサ(平成13年度総合農業研究成果情報:生研センター)の、ポテンショメータの軸 取り付け部にフレキシブルカップリング用い、フレキシブルワイヤの中間部にスプリングを装着し、体幹部の大きな動きに伴う背中の伸び縮みにも対応して確実 に追随できるよう改良したものを用いて行なっている(図2)。
  • OWAS(Ovako Working Posture Analyzing System)法による姿勢解析評価ソフトは、記録した身体各部の角度と体幹のねじれ角データをOWAS法の姿勢分類コード表(体幹:4区分、上肢:4区 分、下肢:7区分)に対応させ、アクションカテゴリ(AC)による4段階の分類評価を自動的に行うことができる(図3)。
  • キャベツの定植、収穫、トマトの収穫の各模擬作業時に、慣行の目視および、VTRによるOWAS法評価と本システムによる評価結果を比較したところ、ACの割合はほぼ一致した傾向を示す(図4)。

成果の活用面・留意点

  • 本システムは、作業姿勢の問題点の摘出や作業改善効果の確認を効率的に行うことができる。
  • OWAS法評価を行う際、手腕に掛かる荷重や力は別にデータを入力する必要がある。

具体的データ

 

図1 新型作業姿勢モニタ

 

図2 改良型ねじりセンサ

 

図3 解析ソフトによるOWAS法評価画面

 

図4 評価結果の比較

OWAS法:姿勢評価法の一つで体幹、上肢、下肢の姿勢の評価区分に、作業に伴う重量物の保持や力の掛かり具合を加えた作業状態を4桁の数字でコード化して記録し、評価は、1から4のアクションカテゴリに照らして行う。1は「作業改 善の必要なし」、2は「近いうちに改善計画にのせる」、3は「できるだけ早く改善する」、4は「直ちに改善が必要」とされ、評価結果を作業改善に活用する。

その他

  • 研究課題名:作業姿勢計測・評価手法に関する研究
  • 課題ID:03-10-05-01-11-05
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2004∼2005年度
  • 研究担当者:小林 恭、関 正裕、菊池 豊(生研センター)、中野 丹(生研センター)、(株)ヴァイン