米ぬかの繰り返し施用による玄米カドミウム濃度の低下
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要約
米ぬかを繰り返し施用して水稲を湛水栽培することによって、玄米のカドミウム濃度を低下させることができる。
- キーワード:ぬか、カドミウム、玄米、繰り返し施用
- 担当:中央農研・土壌肥料部・土壌管理研究室
- 連絡先:電話029-838-8827、電子メールsumi@affrc.go.jp
- 区分:関東東海北陸農業・関東東海・土壌肥料、共通基盤・土壌肥料
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
CODEXによる食品カドミウム(Cd)基準値設定の動きに伴い、玄米のCd濃度を一層低下させる技術が求められている。そこで、ぬかを施用して水稲を栽培することによって、玄米のCd濃度を低下させることが可能かどうか検討する。
成果の内容・特徴
- a/5000の30cm深ポットに各地の土壌を5kg程度詰め、基肥及び追肥としてぬかを施用して水稲(品種:キヌヒカリ)を湛水条件下で栽培し、生産される玄米のCd濃度を対照(ぬか無施用湛水栽培)と比較した(表1、表2、表3)。
- ぬかを繰り返し施用することにより、施用区の玄米Cd濃度は対照区より明らかに低下する。低下の程度は土壌や栽培年度によって異なる(表1、表2、表3)が、ぬか施用区玄米Cd濃度の3年間全データの平均値は対照の13%だった。
- ぬか施用区では対照区に比べてEhが平均で80mV低下した(図1)。Cd濃度低下に還元が関与していることが想定されるが、還元の程度との関係やメカニズムについては検討していない。玄米収量は増加あるいは同等程度だった(2003年平均121%、2004年平均114%、2005年98%)。
- ぬか(あるいは炭酸カルシウム)を出穂期に施用してもCd濃度低下はわずかだった(表2、後期ぬか施用、後期炭カル施用)。
成果の活用面・留意点
- ぬかを施用して通常の水管理で水稲栽培をした農家11例(100∼300kg/10a基肥のみ)について作物体を調査した結果では、対照との間にCd濃度に有意差はなく(データ略)一回だけのぬか施用ではCd濃度を低下させる効果は認められない。また圃場試験でぬか200kg/10aを出穂期に施用しても玄米Cdの濃度が平均で対照の88%に低下する程度である(データ略)。
- 圃場条件や土壌の種類によって効果が異なる可能性があり、実用的な散布量、回数、方法などを圃場条件において調査する必要がある。
具体的データ




その他
- 研究課題名:イネ・ダイズにおける子実中カドミウム濃度の収穫前迅速予測技術の開発
- 課題ID:03-06-01-*-18-05
- 予算区分:有害物質カドミウム
- 研究期間:2003∼2005年度
- 研究担当者:伊藤純雄、高橋 茂、脇門英美