間接ELISA法を活用したOlpidium bornovanusに対する拮抗微生物簡易選抜法
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要約
Olpidium bornovanus遊走子の特異抗体を用いた間接ELISA法は、1x103個/ml以上の本菌遊走子液を陽性と判定できる。本間接ELISA法を活用することにより、O. bornovanusに対して拮抗性を示す有用微生物の候補を簡易に選抜できる。
- キーワード:Olpidium bornovanus、遊走子、間接ELISA法、拮抗微生物
- 担当:中央農研・昆虫等媒介病害研究チーム
- 連絡先:電話029-838-8481、電子メールnarc-seika@naro.affrc.go.jp
- 区分:共通基盤・病害虫(病害)、関東東海北陸農業・関東東海・病害虫(病害)
- 分類:研究・参考
背景・ねらい
ツボカビの一種であるOlpidium bornovanusは土壌中に生息する絶対寄生菌であり、メロンえそ斑点ウイルス(MNSV)を媒介する。一方、土壌中には植物病原菌に対して拮抗的に作用する有用微生物が多数生息している。それら未知の微生物の機能を活用することにより、O. bornovanusの活動を制御する新たな防除法の開発が期待される。そこで、O. bornovanus遊走子に対する特異抗体を用いた間接ELISA法を作製し、本法を活用することでO. bornovanusに対して拮抗作用を示す有用微生物の一次選抜法を開発する。
成果の内容・特徴
- O. bornovanus遊走子を抗原として作製した抗体は、他種のオルピディウム菌であるO. virulentusの遊走子には反応せず、高い特異性を保有している(図1)。また、本抗体を用いた間接 ELISA法は1x103個/ml以上のO. bornovanus遊走子液を陽性と判定できる(吸光度(OD405)=0.1以上)(図2)。
- 本間接ELISA法は、メロン種子の菌液への浸漬処理とバーミキュライトを用いたO. bornovanus増殖系を組み合わせることで、O. bornovanusに対して拮抗性を示す有用微生物候補菌株の選抜に利用できる(図3)。
- 本プロトコールに従って既存のO. bornovanus拮抗微生物2菌株(BS242とM21)ならびに非拮抗微生物2菌株(C176とBS17)の合計4菌株を検定すると、予め汚染土壌での発病抑制試験等で高い抑制効果を示した微生物(BS242)が選抜される(表1)。
- 間接ELISA法を活用した本拮抗微生物選抜法を用いることにより、O. bornovanus遊走子のメロン根への侵入を抑制する有用微生物候補菌株を簡易に選抜できる。
成果の活用面・留意点
- メロン根部におけるO. bornovanusの感染を本間接ELISA法で検定する場合には、根部粗汁液よりも放出された遊走子液の方が高感度に検出できる。
- 本間接ELISA法は、O. bornovanus菌系統により陽性反応の程度に差が認められる。
- 本選抜法によりスクリーニングした拮抗微生物の候補菌株は、ポット試験等の他の方法で抑制効果を検定する必要がある。
具体的データ




その他
- 研究課題名:病原ウイルス等の昆虫等媒介機構の解明と防除技術の開発
- 課題ID:214-e
- 予算区分:高度化事業、菌媒介ウイルス
- 研究期間:2003~2006年度
- 研究担当者:大木健広、望月知史、津田新哉