ホソヘリカメムシの合成フェロモン剤の誘引性を増強する新規2成分
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要約
ホソヘリカメムシの集合フェロモン成分として3成分が報告されているが、既知3成分もしくはその主成分tetradecyl isobutyrateに新規成分octadecyl isobutyrateまたは(E)-2-hexenyl hexanoateを混合すると雌雄成虫に対する誘引性が増強される。
- キーワード:集合フェロモン、ホソヘリカメムシ、octadecyl isobutyrate、
(E)-2-hexenyl hexanoate
- 担当:中央農研・総合的害虫管理研究チーム
- 連絡先:電話029-838-8939、電子メールnarc-seika@naro.affrc.go.jp
- 区分:共通基盤・病害虫(虫害)
- 分類:研究・参考
背景・ねらい
ホソヘリカメムシは大豆などを加害する難防除害虫である。本種の雄成虫には雌雄成虫や幼虫が誘引される。雄成虫より放出される誘引性の集合フェロモン成分としてtetradecyl isobutyrate (14:iBu)、(E)-2-hexenyl (E)-2-hexenoateおよび(E)-2-hexenyl (Z)-3-hexenoateの3成分が報告されている(Leal et al., 1995)。上記3成分からなる合成フェロモン剤が市販されているが、本剤の誘引性を高めることができれば本種の発生消長を的確に把握できる。
そこでホソヘリカメムシ雄成虫から放出される揮発性成分の再検討を行い、合成フェロモン剤の誘引性に及ぼす新規成分の効果を検討する。
成果の内容・特徴
- ホソヘリカメムシ雄成虫は既知3成分、防御物質あるいは警報フェロモンと考えられている(E)-2-hexenal、(E)-2-hexenyl hexanoate (E2-6:Hx)の2成分の他に、octadecyl isobutyrate (18:iBu)を放出している(図1)。
- 既知3成分あるいはその主成分(14:iBu)に18:iBuを混合すると、それぞれの組み合わせにおいて雌雄成虫に対する誘引性が増強される(図2、3)。
- 本種の警報フェロモンとして報告されていたE2-6:Hxを主成分(14:iBu)と混合すると、主成分単独よりも雌雄成虫に対する誘引性が増強される(図4)。
成果の活用面・留意点
- 合成フェロモン剤の誘引力を高めることにより、ホソヘリカメムシの高精度発生予察が可能となる。
- 既知3成分および18:iBuは雄成虫のみから放出されるが、E2-6:Hxは雄成虫だけではなく雌成虫からも放出される。これはホソヘリカメムシの集合形成において、雄成虫のみならず、誘引されてきた雌成虫も二次的に誘引性に影響している可能性を示している。
具体的データ




その他
- 研究課題名:土着天敵等を活用した虫害抑制技術の開発
- 課題ID:214-f
- 予算区分:基盤研究費
- 研究期間:2004~2006年度
- 研究担当者:安田哲也・水谷信夫・遠藤信幸(九州沖縄農研)・本田善之(山口農試)・福田健(鹿児島農総セ)・
松山隆志(沖縄農研セ)・伊藤健二・守屋成一・山口卓宏・佐々木力也(富士フレーバー(株))
- 発表論文等:Yasuda et al. (2007a) Appl. Entomol. Zool. 42(1): 1-7.
Yasuda et al. (2007b) Appl. Entomol. Zool. 42(1): 161-166.