合成フェロモン利用自動カウントトラップによるホソヘリカメムシの計測

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要約

既存の自動カウントトラップをホソヘリカメムシ用に改造し、誘引源として本種の合成フェロモンを取り付けることで、ホソヘリカメムシ誘殺数が自動計測できる。

  • キーワード:ホソヘリカメムシ、合成フェロモン、トラップ、自動カウント
  • 担当:中央農研・総合的害虫管理研究チーム
  • 連絡先:電話029-838-8939、電子メールnarc-seika@naro.affrc.go.jp
  • 区分:共通基盤・病害虫(虫害)
  • 分類:研究・参考

背景・ねらい

野外害虫個体群の発生消長等の調査において、省力的なモニタリングのためにトラップによる計数の自動化が期待されている。発生量や被害予測が困難なダイズの重要な子実害虫ホソヘリカメムシでは、雄成虫由来のフェロモンが同定され、合成フェロモンを誘引源としたトラップによるモニタリングが試みられている。本研究では、チョウ目害虫用に開発された自動カウントトラップ(ムシダス2000、(株)エルム製)をカメムシ用に改造し、合成フェロモンを誘引源とした同トラップの利用可能性について検討する。

成果の内容・特徴

  • 本トラップは、性フェロモンを誘引源とするプロトタイプトラップの雨よけ・衝突板・ローラー電極部を改造し(図1、B)、集合フェロモンを誘引源とする新タイプの自動カウントトラップ(ムシダス2000S)である(図1)。
  • 自動カウントトラップと対照として設置した水盤トラップ(コガネコール用誘引器、黄色、サンケイ化学製)の誘殺消長は、概ね一致する(図2)。
  • 自動カウントトラップの計測数と実際の誘殺数との間には誤差が認められる(図3)。これは、計測システムの技術的な制約から、捕獲個体の計数漏れや対象外の大型昆虫の飛び込みに対処できていないこと等が原因と考えられる。

成果の活用面・留意点

  • 本トラップは太陽電池とバッテリーにより稼働するため、電源がない場所にも設置が可能である。
  • 今後、衝突板の大きさをより大きくすることと、ファネルと計数用ローラーの接合部分の隙間をなくす必要がある。現在、それらの改良についてメーカーと協議中である。
  • 本トラップは高価(改造費および通信費込みで1台約100万円)であり、設置と運用に際しては、コスト低減が必要である。

具体的データ

図1 改良型自動カウントトラップ( ムシダス2000S、A)とその構造断面図(B)

図2 ホソヘリカメムシ成虫の自動カウントおよび水盤トラップにおける誘殺消長

図3 自動カウントトラップにおけるホソヘリカメムシ成虫の実誘殺数と自動カウント数の関係

その他

  • 研究課題名:合成誘引物質と自動計測制御技術を利用したダイズ害虫類の発生予測手法の開発
  • 課題ID:214-f
  • 予算区分:生物機能プロ
  • 研究期間:2004~2006年度
  • 研究担当者:守屋成一、田渕研(森林総研北海道)、水谷信夫、伊藤健二(農環研)、山口卓宏、東後晶子
  • 発表論文等:田渕ら(2006)応動昆50:123-129.