直播栽培におけるエダマメ4品種の発育予測

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要約

早晩性を異にするエダマメ4品種(「福成」、「湯あがり娘」、「新潟茶豆」、「庄内5号」)について、作成した温度と日長の多項式で表されるDVR(発育速度)推定式を用いて、直播栽培での出芽日、開花日および収穫適期を予測できる。

  • キーワード:エダマメ、開花、収穫適期、早晩性、直播栽培、発育予測
  • 担当:中央農研・北陸水田輪作研究チーム
  • 連絡先:電話025-526-3235、電子メールtatsuo@affrc.go.jp
  • 区分:関東東海北陸農業・野菜、共通基盤・農業気象
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

エダマメは収益性が高く、ダイズ用機械の利用も可能なことから、北陸では農業生産法人等が水田輪作にエダマメを組み入れて大規模に直播栽培する事例も出てきている。生鮮野菜であるエダマメの継続出荷のためには、栽培計画(品種と数回の播種時期)を、収穫適期の予測に基づいて的確に決める必要がある。また、開花期の予測は、開花期前後に必要な作業の予定を組むのに役立つ。ダイズの発育は温度と日長に影響を受けることが知られている。そこで、いずれも新潟県内で作付けの多い、茶豆系の3品種(早生の「福成」、中生の「新潟茶豆」、中晩生の「庄内5号」)および茶豆風味で中早生の「湯あがり娘」の、早晩性の異なる計4品種について、温度と日長に基づく発育予測法を開発する。

成果の内容・特徴

  • 直播エダマメの発育ステージを、播種から出芽、出芽から開花、開花から収穫適期、の3つにわけ、発育ステージ毎にDVR(発育速度,日-1)推定式を作成した(表1)
  • 播種から出芽までのDVR(DVRe)は、水分条件が良好であれば日平均地温(ST,°C)の単項式(一次式)で表される(表1)。これは、有効積算温度法の変形であり、直線のx切片が出芽の限界温度(有効温度)となる。地温データが得られない場合、低温期でなければ日平均気温(AT,°C)を用いて計算(ST=ATと仮定)しても、出芽日の推定誤差は小さい。
  • 出芽から開花までのDVR(DVRf)、開花から収穫適期までのDVR(DVRh)は日平均気温と日長(可照時間:緯度により決まる)の多項式により計算される(表1。ただし、福成のDVRhは気温の一次式)。
  • 播種日と温度、日長を与えれば、モデルにより順次、出芽日、開花日、収穫適期を予測できる。DVRモデルによる播種から収穫までの日数の予測誤差は±3~4日程度である(表2)。
  • 日平均気温の平年値と日長を用いれば、4品種について直播栽培での平年的な発育予測の一覧表(播種日と予想開花日および予想収穫適期の対応表)を作成できる(表3)。北陸のアメダス地点における一覧表をホームページで公開予定である(気温のみによる開花予測の暫定版は公開中。http://narc.naro.affrc.go.jp/inada/edamame.htm)。

成果の活用面・留意点

  • 「収穫適期」は、代表的な莢の厚さ(基本的に主茎の上位節の莢の平均的な厚さ)が規定の厚さ(福成と新潟茶豆は8mm,湯あがり娘と庄内5号は9mmとした)に達する日と定義している。通常、以後3日間程度が収穫適期間となる。
  • 干害や湿害による出芽不良や生育阻害が生じる場合は予測が大きくはずれる場合がある。
  • 栽培途中で出芽日や開花日を把握すれば、それ以降の予測を修正できる。
  • 作期移動試験(表1)中の気温、日長条件の中心的な範囲(おおむね、気温15~25°C、12~15時間日長。詳細は要問い合わせ)から大きく外れる条件での予測精度は不明である。

具体的データ

DVRモデルの概要

表1 DVR推定式(STおよびATは地温および気温の日平均値(°C)、DLは日長(時間))

表2 DVRモデルによる播種から収穫適期までの日数の予測誤差の例(2005年)

表3 播種日と平年の開花日および収穫適期

その他

  • 研究課題名:北陸地域における高生産性水田輪作システムの確立
  • 課題ID:211-k
  • 予算区分:基盤
  • 研究期間:2004~2006年度
  • 研究担当者:細野達夫、片山勝之